日本の森林に自生するクロモジやオオバクロモジには,精油成分の中心となるテルペン類や,フラボノイドをはじめとしたフェノール類が多く含まれている.それら構成成分の組成は多様性が高いことが知られているが,葉と枝や季節変動といった同一個体内での違いや,個体間における違いなど,クロモジ類の特徴的な成分組成の謎を解き明かすための知見は少ない.本稿では,筆者らが紐解いてきた個体レベルでのクロモジ抽出成分の分析結果を中心に既往の研究報告と比較しながら,クロモジとオオバクロモジに含まれる抽出成分の化学的特徴について概説する.
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