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  • チェコ共和国におけるポスト社会主義からポスト社会主義以後への移行の契機
    坂田 敦志
    文化人類学
    2022年 87 巻 1 号 064-080
    発行日: 2022/06/30
    公開日: 2022/12/08
    ジャーナル フリー

    1989年に旧東欧諸国が社会主義体制から資本主義体制へと移行して以降、文化人類学においてポスト社会主義人類学という新たな領域が形成され、研究が進められてきた。しかし、2000年代以降、当該研究領域の基盤であるポスト社会主義という枠組みに対して、その有効性を疑う見解が内外から寄せられるようになり、2010年代半ば、ポスト社会主義からポスト社会主義以後へというパースペクティヴが示されるに至る。

    本稿の目的は、トリックスター概念を手掛かりに、反共産主義を掲げるチェコ共和国の政治活動家ヤン・シナーグルの言論活動を検討する作業を通じて、2010年代に当国において進行したポスト社会主義からポスト社会主義以後への移行に関わる契機の1つを示すことにある。はじめに、シナーグルの言論が、1989年以降、「西欧」への回帰を旗印に当国の政治・経済体制の「民主化」を推し進めてきた「西」派の人びとにいかに受容されているのかを検討する。続いて、シナーグルの一連の言論が指し示しているのが、ナチス・ドイツによる占領期および社会主義期をはじめとする過去にまつわる記憶との関わり合いの中で1989年以降の新たな秩序が抱え込むことになった「民主主義」の「パラドクス=トラウマ」であることを示す。最後に、シナーグルの言論が新旧2つの秩序を等しく対象化することによって、ポスト社会主義からポスト社会主義以後への移行に関わる契機の1つになっていることを指摘する。

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