本研究は,「造形遊び」の表現過程に連続性や発展性を生じさせる子どもの論理に基づく探究の仕方(理解の仕方)を明らかにすることを目的としている。そのため小学生を対象とした「造形遊び」を実践し,関与観察とエピソード記述をして,分析・考察をした。
明らかになったことの1つ目は,子どもは身の周りの環境と相互作用して,固有のものやことの意味や,自分のアイデンティティをつくり出すということである。2つ目は,子どもの「造形遊び」は,多様な特徴(「材料遊び」「操作遊び」「構成遊び」など)があり,それらが入れ替わり立ち代わり生じるということである。3つ目は,子どもは「わからない」状態から「わかる」状態にむけて絶えず活動し続ける課題探究をして,造形表現過程に連続性や発展性が生じる場合があるということである。4つ目は,子どもの課題探究における理解は,自他の相互関係における文化的価値の受容と創出とが表裏一体となっているということである。
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