集中治療の鎮静目的で用いたプロポフォールにより,横紋筋融解が遷延した小児の悪性症候群の1症例を経験した。症例は6歳の女児で,異常運動(夜間の暴力的行為,舞踏病様運動,全身強直発作)のため小児科に入院(筋緊張亢進に対しジアゼパム,フェニトインなどを投与)するが,意識レベル低下,高体温(42℃),無尿となり,第11病日ICUに収容した。悪性症候群を疑い,強制冷却,ダントリウム投与,血漿交換,持続血液濾過を施行した。収容時のクレアチン・ホスホキナーゼ(creatine phosphokinase, CPK)は310×10
3IU・
l-1と高値を示したが第15病日には40×10
3IU・
l-1となった。第15病日より人工呼吸中の鎮静目的でプロポフォールを3mg・kg
-1・hr
-1で開始し,11日間投与したが,CPKは4~8×10
3IU・
l-1の間を推移し低下を認めなかった。プロポフォールを中止したところ,3日後には1×10
3IU・
l-1を下回り以後低下した。小児に対する集中治療での鎮静目的でのプロポフォールの使用は,推奨用量(3mg・kg
-1・hr
-1以下)であっても横紋筋融解を生じる可能性があり,避けるべきであると考えられた。
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