2004年12月26日のスマトラ沖地震に伴いアンダマン諸島からスマトラ島にかけて大規模な地殻変動が生じた. このうちアンダマン諸島北西部では, 特に大きな隆起量が推測されたにもかかわらず, 余効変動の影響もあり, 地震直後の隆起量がわかっていない. 本論文では, 新たに考案された高解像度衛星画像を用いる標高計測手法により, 地震前後の汀線位置の標高変化を計測し, 北アンダマン島北西端における地震直後の隆起量を推定した. その結果, 本地域が地震時に2.2m隆起していたことを確認した. これは今回の地震に伴う隆起量の中で最大級である. 計測誤差は手法の制約から標準偏差で0.8mであったが, 縁脚地形の離水を衛星画像中に視認できることと, 撮影時の潮位から, 隆起量は2mを上回ると判断された. 本地域は海溝からの距離や重力異常から, より隆起しやすいことが示唆され, 地震時隆起量が大きいことと関連していると考えられる.
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