知能に全般的な遅れがない子どもたちが学ぶ通常学級には, LDやADHDをはじめ, 様々な特性を持つ子どもたちがいる。このような現状の中, これまでの通常学級における一般的な子ども理解や, 一斉授業による指導に加え, より効果的な教育活動をめざした通常学級の担任としての実践に, 学校心理学による心理教育的援助サービスがある。筆者は事例のA (小3, 男児) を, 心理教育的アセスメントにより, 知的に全般的な遅れはないが, 言語・認知面に問題があり集団参加に困難があるLD児ととらえ, 2年間の通常学級の担任及び1年間のT・T担当として, 学級経営, 特性に応じた手立て, 個別指導等の方針を立て, 援助や指導にあたった。その結果, Aの社会面における大きな問題であったパニックは見られなくなり, 色々な場面で友達と共に同じ学習や作業をすすめていこうとする態度を養うことができた。このような通常学級の担任による学校内での専門的対応は, 保護者との検査の有効な共有をはじめ, 効果的な心理検査の実施と結果の解釈, それに基づく子どもや保護者へのカウンセリング及びコンサルテーション等への実践につながった。
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