微量のビスマスを酸性側からジチゾンで抽出するときの異常の原因を見いだした.クエン酸が存在するとpH4に極小抽出率が,ハロゲンイオンが存在するとpH6に極小が現われる.その影響はジチゾン四塩化炭素溶液よりクロロホルム溶液のほうが大きい.従来,pH2.5~3.5がビスマスの抽出条件であったが,酢酸イオン共存で硝酸とアンモニアでpH1.5に調節した条件が最適であり,1gの鉛からもビスマスは完全に分離できた.この条件を用いて人形峠ウラン鉱石中の
210Pbを,多量の鉛キャリヤーを加え硫酸鉛として分離後,その娘核種の
210Biをジチゾン四塩化炭素溶液で抽出分離し,β放射能を測定して
210Pbを求めた.その結果,ウランとの平衡量の75%しか存在しないことを見いだした.
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