私たちの周りには鉄や金など安定した原子核が約200種程度存在するが,放射性崩壊をして放射線を発する不安定な核種も存在する。これら放射性核種(RI)は,大質量の恒星が終焉時に起こす超新星爆発や中性子星同士の衝突など特殊な環境において大量に生成されたと考えられている。RIの数は,理論的に7,000種以上にものぼるとされ,大規模なRI研究が理化学研究所の世界最高性能・大強度重イオン加速器において推進されている。現在,線形加速器RILACを利用した低エネルギー原子核融合反応による超重元素の生成,さらにサイクロトロン4台を連結させた高エネルギー原子核破砕反応・核分裂による新放射性同位元素の生成が可能となり,多くの研究者が熱い視線を注いでいる。陽子や中性子のバランスが大きく違うエキゾチックな原子核は,生成後に次々と崩壊しながらその姿を変えていく。太陽系に存在する元素の起源を探る上でも,これら放射性核種の性質を精密かつ効率的に調べる必要がある。ここでは,放射性核種の崩壊に着目した世界最高水準の核分光国際共同研究について紹介する。
陽子と中性子の複合体である原子核はその組み合わせで様々な性質を生じる。陽子の数を縦軸,中性子の数を横軸にして原子核を表現した「核図表」は原子核を俯瞰的に理解するのに広く利用されている。本稿では原子核を核図表の観点で捉え,特に原子核構造・崩壊の話題を中心に近年の核データの現状について紹介する。
本講演では陽子数がsd殻かつ中性子数がpf殻領域の
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