Dehalococcoides属細菌のトリクロロエチレン (TCE) 還元デハロゲナーゼをコードする遺伝子
tceAは塩素化エチレンであるTCEおよび1, 2-シスジクロロエチレン (c-DCE) の脱塩素化に関与しており, TCE汚染現場の浄化で重要な役割を果たしている遺伝子と推測される. 複数の塩素化エチレン汚染現場の地下水から, PCRにより
tceAを増幅, その塩基配列を決定し, これまでアメリカで報告されている5種類の
tceAと比較解析を行った. その結果, 本研究で解析された
tceAはアメリカで報告されている
tceAとは系統的に異なっていることが明らかとなった. 全ての
tceA塩基配列を比較し, コンセンサスシーケンス部分を利用して
tceA検出用のプライマーペアおよびハイブリダイゼーションプローブを設計, 定量的real-time PCR (qPCR) による検出条件を検討した.確立した検出法によりTCE浄化現場の地下水中の
tceA濃度変化を調査した結果, c-DCEの分解に伴ってtceA濃度が上昇し,
tceAを有する
Dehalococcoides属細菌が浄化現場でc-DCEの脱塩素化に関与していることが明らかとなった. また, 浄化期間中, 1ヶ所の観測井戸で定期的にtceAを取得し, その塩基配列を解析した結果,
tceAの塩基配列は一定であった.
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