すでに報告したCefotiamとCefazolinの比較試験データを用い, 慢性化膿性
中耳
炎に対する抗菌薬効果判定規準を定めるに当たってどのような症状を評価項目として重視すべきかについて検討したので, その結果について述べた。その概要は次のとおりである。
まず分析対象105例について, 化学療法開始時における各症状の有症状率を検討した結果, 耳漏, 鼓膜穿孔, 難聴, 鼓膜 (鼓室粘膜) 発赤, 耳閉塞感が高率であった。また7日間の化学療法終了時における各症状の消失率, 改善率は耳漏, 耳痛, 膨隆, 鼓膜 (鼓室粘膜) 発赤, 耳閉塞感で高かった。諸症状の推移と主治医判定との間には相関がみられ, このうち耳漏との相関が最も高く, 次いで耳閉塞感, 膨隆, 鼓膜 (鼓室粘膜) 発赤であった。
3種の判定規準を設けて, 主治医判定との関係, 各症状の推移と主治医判定との関係を検討した。その結果, 慢性化膿性
中耳
炎の標的症状として重要な項目は, 耳漏量, 耳漏性状, 耳閉塞感, 鼓膜 (鼓室粘膜) 発赤の4症状であり, このうちで重視しなければならないのは, 耳漏量, 耳漏性状であることがわかった。耳漏の消失・改善のみでも主治医判定はよく説明できる。
なお, 臨床評価項目の評価段階を今回のように3段階とするのが適当か4段階がよいかということについては, 今後の検討課題として残された。
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