大学競技スポーツの展開をめぐる問題は、現在はもちろん、100年前の
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でも強い関心が持たれていた。そうした中、欧米型スポーツが中国にもたらされたことを契機に、教会学校でスポーツが盛んになり、極東選手権競技大会への参加などで体育団体が設立された。具体的には、1914年蘇州の東呉大学の提案により、華東大学体育連合会が設立され、中国の大学スポーツ連盟の発展に大きな貢献を与えた。そこで、本研究では、
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で初の大学競技スポーツ組織である華東地区大学体育連合会を中心に検討する。これまでの研究から、YMCAは
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初期に大学スポーツを立ち上げた組織であること、またミリタリズムおよびその思想は大学スポーツに大きな影響を与えたことが明らかになっている。しかし、近年、
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時期の大学に対する研究の関心が高まり、多く著作の刊行が続いているにも関わらず、スポーツへの言及は限られている。そこでは、大学スポーツ連盟を直接研究の対象に据えたものは、殆ど見受けられないし、制度の成立過程の解明は、いまだ不十分な状況にある。そこで、本研究では、大学スポーツ連盟の成立過程および歴史的意義を明らかにするを目的とする。
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