大型のアマゴとヤマメの形態と生態について, 以下のような知見を得た。
1.形態的特徴
(1) 大型のアマゴとヤマメは, 体側の赤点の有無と鱗相について, 明瞭な種的相違点が認められた。
(2) アマゴとヤマメは魚体の大型化に伴ないパーマークが消失する。大型アマゴ・ヤマメは外見上, 降海型や降湖型に類似するが, なお尾柄高や鰭の大きさ, 鱗相について幼形的特徴を残している。
2.生態的特徴
大型アマゴ
(1) 河川またはダム湖で成育し, 2
+~3
+年で体長300~500mmに達し, 成熟する。
(2) 成長度は, 1
+年までは一般のアマゴと大差はないが, 2
+年に著しい成長を示す個体が多い。
(3) 成熟年齢は2
+年が多く, 全体の80%を越えた。年齢と成長, 成熟について降湖型 (または降海型) より1年以上遅れ, 成熟体長を越えても未成熟のままで成長し, 大型化する個体が多い。
(4) 多くは1回の生殖作用でへい死するが, 雄では生残し継続して成熟する個体が見られる。
大型ヤマメ
(5) 河川で成育した大型ヤマメは, 2
+年以上で体長約300mmに達し, サクラマス (降湖型または降海型) より成長が劣る。
(6) 雄の大型ヤマメで生活7年目に入り, 長年生存した例がみられた。
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