コロラドとタイ国産のオイルシェールを水素または窒素の加圧下で
乾留
を行った。
乾留
炉としては回分式の円筒型レトルト(
Fig. 1) を使用し, 圧力は0~10atm•G, 温度は最高500°Cまたは600°Cで行った。研究は
乾留
生成物, 特に油の性状,収率に対する圧力, レトルト中の導入ガス流速, 導入ガスの種類および
乾留
炉の型の影響について調べる目的で行った。
圧力による分解温度の影響について検討するため, ガス発生のピーク時における温度を測定し
Table 1に示した。圧力10atmまでの範囲では分解温度の圧力による影響はほとんど認められなかった。
乾留
条件と得られた油の性状をコロラド産オイルシェールについて
Table 2に, タイ国産について
Table 3に示した。圧力を上げることにより油の収量に大きな変化はなかったが, 大気圧下で
乾留
生成油に比べて, 圧力を上げるほど軽い油が得られた。すなわち,
Figs. 3と
4に示したように, 油の粘度および流動点は圧力を上げると共に低下し, 例えば, タイ国産の場合, 常圧で35°Cの流動点が10atmで約18°Cに, コロラド産の場合, 常圧で22°Cのものが10atmにおいて0°Cまで低下した。また, 粘度も両方のオイルシェール共に, 常圧の場合の半分以下に低下した。これらの油の蒸留試験結果を圧力に対してまとめて
Figs. 5と
6に示した。コロラド産の場合, 300°C以下の留分が常圧下の
乾留
により約40wt%得られたのに対し, 10atmの場合約70wt%まで増加した。タイ国産の場合でも同様に, 40wt%から63wt%に上昇した。
油の留分別の元素分析結果を
Table 4に示した。圧力10atmで
乾留
した場合, 硫黄分はタイ国産で, 0.31~0.42wt%, コロラド産で, 0.57~0.66wt%で, 各留分にほぼ同量ずつ含まれるが, 窒素分は前者の場合, 0.54~1.68wt%, 後者の場合, 0.79~3.54wt%で, 沸点の高い留分ほど多くなる傾向があった。しかし, 硫黄, 窒素量共に圧力による影響は明確には現れなかった。
圧力を一定にし, 導入ガスの流速を変えて行った結果を
Figs. 7と
8に示した。導入ガスの流速の影響は, この範囲内では, 圧力の影響に比して少なかった。
導入ガスとして水素の代わりに窒素を使用して得られた結果を
Figs. 3と
4に示した。生成ガスの中に水素が30~40vol%含まれて来るので, 大きな差は出なかった。
箱型6) と円筒型の
乾留炉の常圧での乾留
結果から, 流動点で2~3°C程度箱型の方が高くなり,
乾留
炉の構造によっても油の性状に若干の差が出ることがわかった。
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