ゆで麺の粘弾性や滑らかさなどが麺の品質に重要であり,これには蛋白質よりも澱粉の性質の影響がはるかに大きいといわれることから,本研究では特に澱粉に着目し,その理化学的性質について検討した.また,製麺試験を行い,製麺適性を比較した.
(1) アミロース含量,損傷度,溶解度・膨潤力については,5種の小麦澱粉の間に顕著な差異は認められなかった.
(2) チホク澱粉は,他に比べて粘度の上昇が急激で,最高粘度も最も高く,ブレークダウンが大きい.このことからチホクは,他に比べて糊化の際に膨潤,崩壊しやすいソフトな澱粉であることがわかった.
(3) ゆで麺の引っ張り試験において,ASWは破壊応力,伸長率共に優れていることを確認した.また伸長率は
乾麺
よりも生麺の方が高く,破壊応力においては生麺よりも
乾麺
の方が強い.
(4) テクスチュロメーターによる硬さおよび粘着力の測定では,ヒヨク,ASW,フクワセ,ホロシリの順に硬かった.また粘着力は,ASWが最も粘りが強く,フクワセ,ヒヨクがそれに次ぐ粘りであった.ホロシリは粘着力がほとんど無いといってよい.
(5) 官能試験の結果,色,外観についてはフクワセ,ヒヨクが共にASWより高い評価であった.また,食感については,粘弾性でフクワセの評価が高く,各項目を総合すると今回の実験では,岐阜県産のフクワセ,ヒヨクが良い評価を得た.
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