完全なる食餌は無機鹽基の過剩を含有せざるべからずとは最近ベルヒ氏等の首唱する所なり著者は此見地より市販賣牛乳に就き其アルカリテートを試驗せるに意外にも屡々陰性の塲合あるを發見し尋て二三乳牛に付き分娩後引續き實驗を施行せるに牛乳は搾取量最も多き三四十日目迄は陰性にして其以後に於て漸次陽性に韓ずるの事實を確かめ更に母乳に付き試驗を施行し其成績を相互對照せるに母乳は分娩後の時日に關係なく毎に陽性にして而かも其度は頗る高く兩者の間に較著の差あるを認めたり著者が此事實に基き牛乳は畢竟するに犢牛の營養品たるに過ぎずして到底乳兒の營養に適せずと論じ且つ牛乳を以て哺育せる乳兒の罹病し易く又死亡率多きは此點に至大の關係を有すべしと結論せり
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