電解
二酸化マンガン
のpH-極電位の関係,ならびに極電位の経時変化に関する研究をおこなった。電流密度を異にして析出した2種類の
二酸化マンガン
(D
A=1A/dm
2,および2A/dm
2)の温水処理試料および化学処理試料を調製し,これらの試料について,pH-極電位の関係を求めた結果,いずれも正しい直線関係となり,つぎの関係式が得られた。
温水処理試料:
D
A=1A/dm
2析出MnO
2:E'=0.992-0.0726pH25℃
D
A=2A/dm
2析出MnO
2:E'=0.959-0.0713pH25℃
化学処理試料:D
A=1A/dm
2析出MnO
2:E'=0.961-0.0643pH25℃
D
A=2A/dm2析出MnO
2:E'=0.923-0.0616pH25℃
化学処理した電解
二酸化マンガン
のpH-極電位式のpH係数は理論値に近づく傾向があることを認めた。また,同じ方法で天然γ-MnO2およびβ-MnO
2について実験し,電解
二酸化マンガン
の比較をおこなった。
電解
二酸化マンガン
の極電位の経時変化を測定した結果,温水処理試料は,その電位低下率が大きいこと,および試料中の有効酸素およびSO
2-4などが減少することを伴なったが,化学処理した試料は電位低下率が小さく,試料中の有効酸素およびSO
2-4などの含有率は, はじめの値とほとんど変わっていないことを認めた。
温水処理試料あるいは未処理試料などの電位低下率の大きい理由は,これらの電極を電解液中に長時間浸漬することによって,
二酸化マンガン
中の有効酸素が減少することによるものと推察した。
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