アリルベンゼン類であるアリルベンゼン,オイゲノール,2-アリルフェノールおよびエスドラゴールの[RhH
2(Ph
2N
3)(PPh
3)
2](ジヒドリドロジウム錯体)による異性化反応および水素化反応をジメチルスルホキシド(DMSO)中において均一系,水素圧1atm,303Kで行った。その触媒活性は基質としてアリルベンゼンを用いた場合,最も大きかった。アリルベンゼンの異性化反応による生成物はtrans-およびcis-1-プロペニルベンゼンであり,水素化反応による生成物はプロピルベンゼンであった。窒素雰囲気下で異性化速度の低下が認められたことから,ジヒドリドロジウム錯体と水素との反応により,活性が向上した活性種が形成されることを示している。他の溶媒としてN,N-ジメチルホルムアミド,テトラヒドロフラン,アセトン,ベンゼンおよびトルエンを用いた場合,水素化反応はほとんど進行しなかった。前報および本報の結果から,異性化反応および水素化反応の反応機構を提案した。
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