伊勢の町は,伊勢神宮外宮前を中心として発達した山田と,内宮前を中心に発達した宇治を中核に発展してきた.経済力の優位性を反映して,伊勢の最高地価地点は,長らく山田にあった.1990 年代初頭に,土地を所有していれば地価が上昇するという時期は終わり,土地利用のあり方が地価形成に大きく影響するようになった.経済的に遅れをとっていた宇治の商業地の地価が,2000 年代初頭に,山田の商業地を上回って市内最高路線価地点になるという歴史的な転機があった.伊勢における地価分布の変動が生じた原因の解明には,土地利用に関する考察が必要である.本研究では,伊勢を代表し,それぞれ性格の異なる4 つの商業地区に焦点をあてた.地価を上昇もしくは安定させる土地利用があったと考えられるおはらい町と,近年の外宮参道ではともに,飲食店等への店舗の入れ替えがあり,まちの新陳代謝が認められた.
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