実相寺庭園の調査は、平成6年 (1994) に秀逸な枯山水が発見されたことに始まる。この論文では、実相寺に関する史料を参照しながら、平成11年 (1999) 5月に行った庭園の実測調査をもとに、庭園の地割、意匠及び作庭年代などについて考察した。実相寺自身の由緒は金指の近藤家の加護を受けたことなどが判明しているが、本庭園に関する史料・文献はなく、近傍に所在する龍潭寺庭園や摩詞耶寺庭園と同様に、作庭年代・作者に関する確証は得られなかった。しかし、本庭園はこれら近傍の庭園と比較検討すると、その地割や手法に類似した点が多く、何らかの関連性があると考えられるものであった。
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