戦後日本では,企業経営者と企業内労働組合が行う企業内
交渉
の他に,統一
交渉
,集団
交渉
,連合
交渉
,対角線
交渉と呼ばれる交渉
形態が存在した。これらの
交渉
では,産業別労使団体が企業の枠を超えた労使
交渉の主体として交渉
や妥結に関与した。産業別労使団体が関与して企業横断的に展開され,賃上げに関する何らかの統一的な合意が形成された
交渉を産業レベル交渉
と呼ぶこととする。論文では,6産業(私鉄,石炭,ビール,繊維,金属機械,海運)の産業レベル
交渉
を対象に,
交渉
成立の条件,展開の諸相,後退・終了の経緯に関して総括的な考察を行う。また,産業レベル
交渉
の展開を背景に,企業別組合から産業別組合への移行を構想した私鉄,ビール両組合の事例を取り上げ,産別化挫折の原因をさぐる。日本との比較対象国として,産別
交渉
の伝統をもつ欧州大陸諸国と,1990年代から産別化に着手し,2000年代より産別
交渉
を展開する韓国を念頭に置く。
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