世界規模で低炭素社会を目指した都市構造、具体には公共交通の駅を中心とした「集約型都市構造」や「コンパクトシティ」が検討されており、我が国においても今一度、鉄道駅周辺地域の土地利用のあり方を検討する必要がある。特に「複数の鉄道路線が結節している鉄道駅の周辺地区」(本研究では、「鉄道結節点」とする) は、単に複数の路線があるというだけではなく鉄道から鉄道への乗換え客を発生させるため、一般的な駅と比較しても大きなポテンシャルを秘めており、こうした地域を都市計画でどのように取り扱うかについては、非常に重要な課題と考えられる。そこで本研究は、東京近郊の鉄道結節点について、まずその分布状況、乗降者数、乗換えの方式を把握する。次にその鉄道結節点に指定されている用途地域と容積率及び駅周辺の夜間人口や従業員数を整理し、その特性を分析する。こうした作業を通じて、「鉄道と街との関係」の反映である鉄道結節点の乗降客数が土地利用規制とどのような関係にあるかを明らかにし、東京近郊で周辺地域の拠点となる可能性がある鉄道結節点を抽出する基礎資料とすることを目的とする。
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