1925(大正14)年3 月から4 月にかけて大大阪記念博覧会が開催され、同年6 月1 日から
大阪放送局がラジオ放送を開始した。本論文の目的は、当時、大阪で活動していた5つの音
楽隊、すなわち大阪市音楽隊、三越音楽隊、出雲屋音楽隊、松坂屋音楽隊、高島屋音楽隊が、
同博覧会およびラジオ番組で演奏した曲を調査し、どのようなレパートリーを形成してい
たのかを考察することである。また大阪市音楽隊以外の各音楽隊の結成と解散についての
情報の整理も行った。本論文によって、この博覧会とラジオ番組の両方で数多く出演してい
たのが、三越音楽隊と出雲屋音楽隊であったこと、そして出雲屋音楽隊が主に吹奏楽で出演
していたのに対して、三越音楽隊は吹奏楽および管弦楽、ジャズバンドで出演し、幅広いレ
パートリーを形成していたことが明らかになった。
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