在宅人工呼吸療法は,人工呼吸器装着患者のQOLが格段に向上するものと考えられるが,これらの患者が自宅などにおいて安全で快適な療養生活を送ることができるようになるには,チーム医療として支援していくと同時にその導入から在宅への移行,在宅療養および緊急時の対応にいたるまでをシステム化することが必要不可欠と考えられるが,健全な形にしていくには,定期的に再評価していくことも必要と考えられた.
在宅人工呼吸療法の基礎資料を得るために,実際に在宅人工呼吸療法を受けている患者およびその家族に対してアンケートを行ったが,在宅医療で人工呼吸器を使用する際の不安や問題点,在宅医療で使用される人工呼吸器への不満などが明確になった.今後,さらによりよい在宅人工呼吸療法にしていくためには,これらの意見は非常に貴重であり,今後の在宅人工呼吸療法に十分反映させていかなければならないと思われた.
症例は87歳女性,脳幹部脳梗塞により人工呼吸器から離脱できず,入院約2ヵ月半後人工呼吸管理のまま帰宅した.全身的な管理は近医の協力を得,人工呼吸回路や滅菌資材の補給は大学病院より行った.病院内とは異なり,モニターがないことはわれわれにとってはもっとも不安な点であった.また,人工呼吸器のトラブルにも付き添いには十分対応できず,呼吸器に対する在宅人工呼吸管理を行う立場からの検討が必要と思われた.
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