本研究は淀川水系でのTOX生成能の挙動を調査し, 水道水源としての水質評価を行ったものである。淀川の水質は主に宇治・木津・桂川の混合拡散で決定されており, TOX生成能は200~600μg・l
-1であった。人為汚染の著しい桂川の負荷量が流量によらず安定しており, 1,800kg・d
-1であった。この負荷量の45%は下水処理場に由来している。淀川左岸の水質汚濁には桂川の他に左岸流入汚濁支川も原因しており, 浄水水質に影響を与えている。
淀川においてTHM生成能はTOX生成能の15%であった。クロロホルムの発癌リスクと水道水の変異原性強度を考慮するとき, 浄水のTOXは145μg・l
-1, 原水のTOX生成能は240μg・l
-1以下が望ましい。水質改善には下水処理の処理改善が最も効果があり, 淀川のTOX生成能を500μg・l
-1以下に抑えることが可能である。同時に浄水場での塩素処理の見通しも必要である。
抄録全体を表示