はじめに : 救急外来に外傷で来院し, 予期せずがんの存在が明らかになった報告はほとんどない。症例 : 症例1, 70代, 女性。来院10日前, 路上で誤って転倒し, 左前胸部を受傷した。来院時の胸部CTにて, 右肺に浸潤影が認められ, 肺炎との画像診断報告であった。呼吸器科専門医にコンサルトしたところ, のちに高分化型腺がんの診断となった。症例2 : 80代, 男性。自宅階段4段より転落し, 第7頸椎, 第1胸椎, 第2胸椎棘突起骨折, 第11胸椎, 第1腰椎圧迫骨折で入院となった。しかし第2病日より血尿著明であり, 入院時のCTを見直したところ, 膀胱壁の肥厚があり, 泌尿器科コンサルトとなった。のちに膀胱がんの診断となった。考察・結語 : 外傷においてCT検査は, 偶発的ながんの診断に有効であり, 画像診断報告書などの確認は大切である。しかし, 報告内容だけではがんの確定診断は困難なため, 画像所見などで異常所見がみられる場合, 速やかな専門医へのコンサルトが大切である。
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