昭和48年4月から昭和54年12月までの6年9カ月の間に当院乳腺外科で取り扱った5,747例(実人数)と原発性乳癌で根治術を行なった334例を中心に乳癌の早期診断法を検討した. slight dimpleを含む皮膚所見を注意深く検査すると,乳癌以外の良性疾患では出現率が比較的少ないが乳癌では高率であり,この所見を考慮することにより臨床的乳癌の確診率は82.3%,疑診を含めると98.7%と良好で,見落し率は1.3%であった.また, false positiveは確診としたもの276例中20例(7.6%),疑診としたもの292例中241例(82.5%)であった.理学的診断法による確診率はマンモグラフィーで60.8%,超音波で65.6%であり,見落し率はそれぞれ8.4%, 7.8%であり,臨床的診断に比較して診断率が悪く,疑診とした症例が多くみられた.しかし乳癌の早期発見には,これら理学的診断法を加えた総合診断が必要であり,見落しを防止することができる.
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