本論文の目的は,まず,授業における教育臨床的な側面と教師の職能発達,及び今日的な課題である不登校に焦点を当てた様々な研究を概観し, その上で, 日本独自の教師 (特に担任) サポートを中心としたスクールカウンセリングシステムの構築に向けての試論を展開した。その際, 合わせて, スクールカウンセリング活動についてもその研究を概観した。最後に, 今後の展望として,以下の6つの観点を提案した。(1) 個別, 集団によるカウンセリングだけでなく, コンサルテーションやコーディネーション,ピア・カウンセリングなどの重要性(2) スクールカウンセラーによる多様な側面への介入の必要性。(3)個別教育計画の作成に果たす心理学専門家の役割の明確化と貢献。(4) 授業における教育臨床的な観点に焦点を当てた実証的・実践的な研究の推進。(5)教師の職能発達における教育臨床的な側面の実証的・実践的な研究の推進。(6) 教師による「教育行為」と心理学の専門家による「心理行為」の明確化と両行為相互の役割供応に関しての実証的・実践的な研究の推進。
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