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クエリ検索: "佐久総合病院"
3,427件中 1-20の結果を表示しています
  • 夏川 周介
    日本農村医学会学術総会抄録集
    2008年 57 巻 symposium
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/02/04
    会議録・要旨集 フリー
    終戦前年の昭和19年に創立された
    佐久総合病院
    はまさに戦後の歴史と共に歩んできた。設立当時は日本のチベットとも称された人口5千人に満たない貧しい、寒冷の地にあって、医師2人、20床の規模からスタートし、現在は老健までを含む全病床数1,190床、職員総数1,800余名、常勤医師数200余名を数えている。発展の過程を規模だけからみると、まさに戦後の復興から高度成長への道をひた走ってきた我が国の姿と生き写しの感があるのは否めない。しかし、経済復興と高度成長の波に乗り、時流におもねって規模の拡大が図られて来たわけでは断じてない。むしろ、困窮劣悪な農村地域にあって、戦後の工業社会の実現と生産優先の政策から取り残され、そのひずみを様々な形で受けた農村の環境、産業としての農業そして農民の健康を守るため、昭和20年に赴任し、50年間にわたり院長を努めた故若月俊一の指導のもと、地域に根ざした地道な包括的医療活動の結果であると考えている。そして、その過程はまさに農村医学の実践の歴史といえるのではないか。
    創立期は有史以来大きく変わることの無かった日本の農村・農民の劣悪な生活環境、作業内容からくる健康障害に医療のみならず、社会環境、行政的視点から問題を浮き彫りにし、医学的・社会的・科学的手法により、その解明と改善をはかった農村医学と予防医学創生の時期であった。経済的、時間的、距離的そして何よりも医学的無知から病院にかかることの出来ない人々に対し出張診療班を編成し、無医村に出かけ、保健・予防活動に力を注いだ。その後の高度経済成長時代は、生産優先政策から生じる農薬中毒、農機具災害などの環境汚染や健康障害から農民の健康を守るたたかいの時期であり、同時に急速に発展する医学、医療の修得と提供をめざして最先端の医療技術の導入、施設・機器の整備を図って来た。そして、近年は急速に進む高齢化社会に対応し、介護・福祉、ことに在宅医療の実践に力を注いでいる。
    戦後の日本社会は国際情勢とも連動した急速な発展と未曾有の大変動に見舞われているのに対し、国全体として意識、思想、体制が追いつけない状況が今日の混乱を招いているといわざるを得ない。医療の世界も農村・農業をとりまく状況もまた然りである。
    若月はこのような状況を早くから喝破し“食糧自給率を減らし、農業を危機に陥れ、農村の美しい環境を破壊しているのは資本である。それに、政・財・官の癒着が大きく関与している。「協同」の名において、資本との闘いをきちんとやっておかないと、将来はとんでもないことになる。”といみじくも述べている。この言葉の中に重要な農村医学の目的、意義、役割が含まれているものと考える。
    現在、地域医療崩壊が現実のものとなる中、医療関連産業は多くの地方の基幹産業としての役割を担っている。このことは人口減少に悩む地方、ことに農村地域における有力な雇用創出につながるとともに、地域社会の維持に欠くべからざる要素である。そのような地域に依拠する医療機関は、地域の継続性とセイフティーネットを守る役割と機能を持つことが社会的使命であり責任であると任じ、健全な経営を守ると同時に地域住民の命と健康を守ることが“農村医学の原点”ではないだろうか。
  • 青柳 正興, 細井 泰子, 須田 茂男, 北島 隆司, 輿水 賢治, 西沢 延宏, 盛岡 正博, 夏川 周介
    日本農村医学会学術総会抄録集
    2006年 55 巻 2D24
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/11/06
    会議録・要旨集 フリー
     平成15年4月から大学病院などの特定機能病院にはすでに導入され、平成16年から、その範囲が拡大され試行的適用が行われ、全国で62病院が参加しました。その際に当院も参加するかで議論いたしました。結局、当院は調査協力病院としてデータ提供という形で参加いたしました。2年後の導入をめざし、平成16年8月、各職種が参加したDPC対策委員会を発足させました。月に1回から2回開催いたしました。委員会内で学習会を行い、DPC制度の理解を深めました。他施設を参考にするために、平成17年3月戸田中央総合病院、8月信州大学付属病院、12月山梨大学付属病院、杏林大学付属病院、平成18年1月昭和大学付属病院の計5病院を視察しました。システム、運用、コーディング等、大変参考になる視察でした。診療情報管理課(5名)と医事課入院係(12名)が連携できるような体制整備が必要であることから、平成18年1月に両課がワンフロアーで業務ができるようにしていただきました。DPC業務は格段にやりやすくなっております。平成17年10月以降勉強会を診療情報管理課、医事課合同で月1回または2回行いました。平成18年3月全職員対象に、外部講師を招き勉強会を開催しました。
     当院では、平成16年4月より富士通社のオーダリングシステムを使用していたため、平成17年10月より同社DPCシステムの導入用意をはじめました。同時に院内の運用も考えはじめました。電子カルテ、フルオーダーシステムではありませんが、医師と診療情報管理課、医事課との連絡に一切紙を使用しないことを前提としました。医師には、DPCオーダー画面の「主病名」、「医療資源を最も投入した傷病名」、「入院契機となった傷病名」を入院後2日以内に入力していただくようお願いしました。看護師には「入院時ADL」、「喫煙指数」等、4項目の入力をお願いしました。「調査項目」は、診療情報管理課で入力。「患者基礎情報」、「出来高部分」は医事課で入力としました。退院日前、または当日に医事課より退院予定者を診療情報管理課へ連絡し、診療情報管理士が、病棟にてカルテを確認しコーディングを行います。確定したDPCコードを、医事課に連絡し請求書を作成します。平成18年4月よりDPC導入となりました。今後、データを有効利用して経営分析、経営改善、診療内容の検討、他施設との比較等していきたいと考えます。
  • 西澤 延宏
    日本農村医学会学術総会抄録集
    2008年 57 巻 workshop5-1
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/02/04
    会議録・要旨集 フリー
    佐久総合病院
    は、平成18年4月にDPC対象病院となった。DPCは、医療の質の向上を第一義として導入したが、この2年間の成果と問題点について考察する。
    DPCを導入するに当たり、まず、一番のポイントは、診療情報管理体制の強化にある。適切なDPCを決定し、それに基づいて診療報酬を請求することになるが、DPCを決定すべき医師たちが、必ずしもDPCに精通していない上に多忙なので、正確なDPCの決定を期待することは難しい。そのために診療情報管理課と医事課を同一フロアとして連携を強化し、医師のDPC決定の補完体制を構築した。これは正確なデータを得て、適切な診療報酬を請求する上でも極めて重要なことであり、ここで得られたデータを元に様々な面での分析やベンチマーキングを行うことができた。
    第二のポイントとしては、標準化の推進である。特にクリニカルパスの充実には重点を置き、クリニカルパス専任師長を配置し、パスの作成・見直しを精力的に行った。また、日帰り手術センターに併設する形で術前検査センターを設置し、術前検査を可能な範囲で外来で行うと共に説明の標準化を行った。また、平成17年度より、地域医療連携室に専任師長を配置し、後方連携を中心に活動し、地域連携パスも発展していった。
    第三のポイントとしてのコスト削減である。特に医療の質を担保した上での医薬品費の削減が必要であり、十分な準備をした上での後発医薬品の導入や血液製剤の使用方法の見直しなどを行った。
    以上のような従業員全体としての取り組みを行った中で、平成19年度より7:1看護体制加算を算定できたこともあり、DPC導入は経営的に大きくプラスに働いた。また、DPC導入により、当初目指したように標準化が徐々に進み、医療の質が向上する傾向にある。
    しかしながら、問題点もいくつか認められる。データの作成・新しい診療報酬体系への対応など事務職員にかかる負荷は大きくなり、増員や院内体制の見直しが必要となった。また、システムの導入や院内の施設整備などにもかなりのコストが必要となった。一方、DPC制度の欠陥による減収も看過できない問題である。多発外傷や癌の化学療法などではマイナスになりやすく、ターミナル期にある患者において、麻薬や症状を緩和する薬を使用することでも大きなマイナスになることもある。特に超短期の入院でマイナスになるのは大きな問題であろう。
    データに基づいた改善を行ううえで、医師の協力は欠かせないが、当院では、分析ソフトを全医師にオープンとして自主的な改善を促してきた。全体としては協力的であるが、問題のある部門もある。そういった部門の担当医師は多忙すぎて診療スタイルの変化を行う余裕がない場合が少なくない。その場合、管理側からの適切なアプローチや介入を行うことが必要である。
    DPCは医療の「ものさし」としてベンチマーキングできることが最も大きな利点であり、今後、様々な病院とベンチマーキングできる体制を構築していきたい。現在、長野県厚生連病院全体としての体制整備を検討している。DPC環境下では、農村地域は標準化しにくい患者さんが多いことや高齢者が多いことなど都市に比べて経営的に不利なので、今後、より一層の努力をしたいと考えている。
  • 関 真美子, 北澤 彰浩, 油井 博一, 清水 美明, 池田 拓也, 高木 礼子, 小井出 秀美
    日本農村医学会学術総会抄録集
    2004年 53 巻 1C19
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/10/28
    会議録・要旨集 フリー
  • 笹崎 まき枝, 木榑 菜美, 上原 晴美
    日本農村医学会学術総会抄録集
    2009年 58 巻 P1-C317
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
    会議録・要旨集 フリー
    〈はじめに〉診療報酬改定に伴い看護の質に対する評価が
    され,看護の専門性を有した看護師が提供する看護技術が
    期待されてきており,専門・認定看護師に注目が集まって
    きている。当院では,2006年に認定看護師が誕生し現在8
    名で,今後もさらに育成が求められている。しかし認定看
    護師本来の役割である実践,指導,相談の業務を組織へ横
    断的に関わる事に困惑している。今回,認定看護師と各職
    場との連携についてより機能的なしくみ作りを行い,今後
    の認定看護師の活躍する場が展開できるよう検討したので
    ここに報告する。
    〈方法〉
    1.月1回の定例会議
    2.月2回認定活動日
    3.各認定看護師にPHS を配布
    4.広報活動
    〈結果〉
    1.定例会議を行い,お互いに情報交換や実践状況を報告
    して連携を取り合える場となっている。
    2.最低でも月に2回,認定活動日を設け,そこで自分の
    分野の活動を行っている。しかし,職場においてはス
    タッフであり,職場の状況に応じて業務優先であるため
    困難な事もある。
    3.PHS を持つことで,直接相談を受けられ各職場と横
    断的に連絡が取れるようになってきている。
    4.院内広告やHP に紹介することで,院外からの講師依
    頼を受けるようになった。しかし,院外活動など時間外
    の活動も多くなってきている。
    〈考察〉当院において,認定看護師の活動を始めて年月が
    浅い。その中で,看護の専門性を活用できるように,職場
    の確保や活動の場を少しずつ推進している。まだ院内全体
    に認定看護師の活動,役割が周知されていないため,活動
    に影響することもある。認定看護師は,役割を遂行するた
    めに,各職場への自分の役割や活動内容をアピールしてい
    き,活動の場を広げていく必要がある。そのためには,組
    織の理解・協力がなくては成り立たないことでもあるた
    め,お互いに協働し合うことが必要である。
  • 清水 義雄, 伊沢 敏, 竹内 玲子, 市川 英男, 夏川 周介
    日本農村医学会学術総会抄録集
    2004年 53 巻 1C03
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/10/28
    会議録・要旨集 フリー
  • 伊澤 敏
    心身医学
    2023年 63 巻 2 号 132-137
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/01
    ジャーナル フリー

    筆者は1990~1991年の1年間,勤務していた

    佐久総合病院
    から派遣され,九州大学心療内科に研究生として在籍した.
    佐久総合病院
    は地域医療の実践で知られる病院である.自院に戻った後,心療内科と精神科の診療を担当し,病院の管理業務にも携わりながら今日に至る.

    本稿では九州大学心療内科で学んだことを振り返り,

    佐久総合病院
    の地域医療のかたちを作った若月俊一の思想の一端を紹介したうえで地域医療,心身医療について私見を述べたい.筆者は医療とはすべからく心身医療であるべきと考えている.専門分化が進む中,心身両面を偏りなくみる心身医療の患者把握は本来すべての診療科の中に取り込まれるべきである.そして,地域医療は個人を取り巻く家族やその生活,地域社会も含む,さらに広い視野の中に患者をとらえている.時代の大きな転換期に臨み,われわれ医療者は疾病の診断・治療のために専門性を追求する一方で,広く社会的な視野の中に人間や疾病をとらえる目をもたなければならない.

  • 森本 剛
    日本プライマリ・ケア連合学会誌
    2012年 35 巻 1 号 5
    発行日: 2012年
    公開日: 2015/11/25
    ジャーナル フリー
  • 小野 満也, 樋田 敬子, 清水 茂文
    日本農村医学会雑誌
    1996年 45 巻 4 号 555-559
    発行日: 1996/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    長野県厚生連
    佐久総合病院
    は在宅ケアの一環として1988年 (昭和63年) より長野県南佐久地方の南部の農村山間部4か村からの委託事業である「南部4村在宅ケア合同事業」を行ってきているが, 1995年 (平成7年) からは
    佐久総合病院
    付属小海町診療所が同事業を引継ぎ, 専属訪問看護婦を配属して発展的取組みを開始した。1995年には訪問看護をのべ665回, 訪問リハビリの介助をのべ228回行った他, 村の保健婦による健康相談の集まりを利用しての住民啓蒙活動, 問題となる要介護老人の事例検討会議などを行った。自治体合同事業は幅広い活動によって個別自治体の枠を越えた自治体連携ができ, さらに綿密な在宅ケアが可能になるものと思われ, 今後の在宅ケア発展の上でひとつの重要な役割を果たしうるものと思われた。
  • 石川 清, 渋谷 昌良, 山本 勝, 小棚木 章, 佐藤 孝
    日本農村医学会雑誌
    1983年 32 巻 1 号 37-41
    発行日: 1983/05/31
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    The purpose of this report is to clarify urologic problems in rural districts. The number of patients who visited our clinic for these 10 years were 7, 313 as new outpatient and 1802 as inpatient. Three main diseases of rural area were acute inflammation of lower urinary tract, benign prostatic hypertrophy and lithiasis of upper urinary tract. Infection of lower urinary tract and aggravation of malignant tumors might be influenced by rural works and bad circumstances. Monthly distribution of patients was also under the influence of rural works.
  • 重田 富美子, 若月 健一, 花岡 奈保美, 由井 亜也子, 清水 るり子
    日本農村医学会学術総会抄録集
    2006年 55 巻 workshop1
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/11/06
    会議録・要旨集 フリー
     当老人保健施設は1987(昭和62)年に開設して以来、「老人保健施設とは、お年寄り自身が自ら変わる“場”、ケアサービスはその“場づくり“」として、「地域に根ざした高齢者ケア施設として、たとえ寝たきりや認知症でも、明るく、精神的に逞しく、前向きなお年寄りになっていただけるようなケアサービスを目指す」ことを基本理念に取り組んできた。
     そのケア方針のひとつとして、「身体拘束をしない」ことを原則としてきた。この身体拘束の素朴な概念は、1.抑制帯・介護服(つなぎ服)等を使用しない、2.強い言葉で行為・行動を制止しない、3.薬物による抑制はできるだけ避ける ことが基本的な考え方であった。当施設はこの方針を実施するために、職員数を基準以上に配置し、利用者とのコミュニケーションを重視しながら、利用者の要望を可能な限り受容するケアサービスに努めてきた。
     ところが、'89年に入所定員を30人から94人に増床した。また'93年頃になると、認知症が全利用者の85-90%を占める一方、重度の運動機能障害や経管栄養などケア負担の重い利用者が漸増してきた。この利用者の急増と心身状態像の変化から、ケア現場では利用者の「安全と身体保護」を目的に抑制を余儀なくされた。
     その抑制行為を具体的にみると、認知症で離設の可能性がある利用者には離設防止センサー(トレースコール)の装着、車椅子やベッドからの転落が予測される利用者にはY字型拘束帯や4本柵の使用、また経管栄養の利用者には注入中にゾンデの自己抜去を防止するために一時的な抑制、おむつはずしや皮膚のかきむしりがある利用者には介護服やミトン型手袋などを使用したこともあった。
     2001(平成11)年、厚生労働省「身体拘束ゼロ作戦推進会議」が「身体拘束ゼロへの手引き _から_高齢者ケアに関わるすべての人に_から_」で示唆した内容は、身体拘束の概念と倫理からその行為の解釈も大幅に拡大され、我々高齢者ケアに携わる者に大きな意識の転換が求められた。
     当施設が従来から行っていた抑制は、「当該利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合」に該当し、「切迫性」「非代替性」「一時性」を尊重してきたと考えていたものの、この手引きにより利用者主体と尊厳あるケアサービスの倫理観についての意識改革が迫られた。介護保険制度施行に基づき、全国老人保健施設協会は身体拘束ゼロ作戦の啓発事業に力を注いできたが、当施設はその方針に添って改めて身体拘束ゼロを実践してきた。
     今発表は、介護保険施行後、人権・自己決定が尊重されノーマライゼーションを追求していくために、リスクある高齢者に対しても身体拘束の廃止を目指して、全職員が検討し工夫してきたケアサービスの実際をありのままに報告したい。
  • 西島 健, 高山 義浩, 小林 智子, 小澤 幸子, 岡田 邦彦
    日本農村医学会学術総会抄録集
    2007年 56 巻 1D18
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/01
    会議録・要旨集 フリー
    【緒言】第2報では、2002年より2006年までの5年間に
    佐久総合病院
    を受診した新規HIV感染者について、AIDS発症者数、国籍、医療保険の有無、初診時受診契機、感染経路、転帰により分析する。そこから対策すべき課題を検討し、とくに
    佐久総合病院
    が実施もしくは検討している外国人感染者を対象としたHIV対策を紹介する。
    【結果】2002年1月より2006年12月までに39人の新規HIV感染者の受診があり、24人(61.5%)のAIDS発症者の受診があった。その国籍の内訳は、日本人27人(69.2%)、タイ人12人(30.8%)であった。また、タイ人感染者のうち医療保険のない者が6人(15%)を占めていた。これら39人の初診時契機は、AIDS関連疾患の発症 61.5%、その他の疾患による受診 17.9%、パートナー陽性のために検査 12.8%、妊娠時検査 7.7%であり、自主的に検査を受けて陽性が判明したケースは1例もなかった。感染経路は、84.6%が異性間性的接触であり、大多数を占めた。以下、同性間性的接触による感染 7.7%、薬物使用 2.6%、不詳 5.1%と続いた。また、その転帰は当院通院中 71.8%、死亡 10.3%、帰国支援 7.7%、行方不明 5.1%、他院に紹介 5.1%であった。
    【考察】農村地域ではHIV感染の拡大が進んでおり、いわゆる「いきなりエイズ」症例が全国と比しても高く、早期発見がすすんでいない状況が継続している。その背景には、自主的に検査を受けて判明するケースが認められないことからも、一般市民への啓発活動の遅れが大きな要因と考えられる。日本人については様々な施策が展開されつつある。しかし、次いで外国人への感染拡大が確認されるものの、無資格滞在外国人であることが少なくないため、自治体行政によるアプローチが困難となっている。よって、医療機関と地域のNGO活動との連携による展開が求められている。無資格滞在外国人の感染が判明した場合に、単に帰国させる対応では単なる感染者のたらい回しにすぎず、国内でもHIV検査を受けるように促すことができない。よって、陽性判明後に彼らが医療面・社会面において安心して受診できるシステムを事前に策定しておく必要がある。
    【提言】この地域でエイズ治療拠点病院として活動してきた
    佐久総合病院
    は、自治体や保健所などと連携して様々なHIV対策を実施もしくは検討している。しかしながら、外国人向けの対策は途上であり、感染増加の状況からも緊急の課題と考えている。これまでも外国人向けの医療相談会を年に2回程度実施してきたが、本年度より在日タイ国領事館と協力して
    佐久総合病院
    内に移動領事館を開設。このとき併せて、
    佐久総合病院
    として医療相談会を実施する方針としている。こうして、タイ人らへの社会的・身体的問題へ包括的に対応できる体制を整え、外国人らとの信頼関係を深めてゆきたい。また、無保険の外国人においてHIV感染が判明した場合、何らかの方式による医療費助成制度を策定し、帰国支援まで安定した医療サービスを提供できるようにしたいと考えている。
  • 大浦 栄次
    日本の科学者
    2022年 57 巻 5 号 23-24
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/10/19
    ジャーナル フリー
  • 川崎 俊三, 兼岡 秀俊, 宮原 佳江, 田中 智一郎, 小河 原悟, 村田 敏晃, 道永 功, 内藤 説也
    日本内科学会雑誌
    1997年 86 巻 1 号 143-145
    発行日: 1997/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は46歳,男性.午後3時頃蜂に左顔面を刺され,当夜より両下肢に浮腫が出現し,その後近医にて尿蛋白4+及び低蛋白血症を認めたため当科入院. 1日尿蛋白11.4g,血清アルブミン1.7g/dl,高血圧と全身性浮腫を認め,腎生検にて微少変化型であり,ネフローゼ症候群と診断した.高血圧に対するCa拮抗薬とACE阻害薬の投与により,浮腫,高血圧及び蛋白尿は消退した.本例は蜂毒により一過性に出現したネフローゼ症候群と考える.
  • 小野 満也, 清水 茂文, 佐藤 勝, 夏川 周介, 松島 松翠, 西垣 良夫, 杉山 賀丸
    日本農村医学会雑誌
    1997年 45 巻 5 号 685-688
    発行日: 1997/01/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    長野県南佐久地方の過疎化農村地域に位置する長野県厚生連
    佐久総合病院
    付属小海町診療所は, 長野県厚生連健康管理センター,
    佐久総合病院
    胃腸科内視鏡室, および自治体と共同で1982年より上部消化管内視鏡による胃二次精検を開始し, 1986年からは早朝 (午前6時30分~8時30分) に行った。1995年度には胃X線検診1,513例中, 555例に上部消化管内視鏡を行い, 早期胃癌1例, 進行胃癌1例が発見された。早朝の胃二次精検は農繁期に農作業従事者が受診することを可能にし, 精検未受診をなくす上からも重要であった。自治体保健婦との協力のもとに地域健康管理活動の一環として行われたことは, 過疎地農村における保健医療のネットワーク化の上からも有意義であると思われた。
  • 長 純一
    日本農村医学会学術総会抄録集
    2005年 54 巻 2E02
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/22
    会議録・要旨集 フリー
     
    佐久総合病院
    地域診療所科は、1994年地域医療部創設時に、地域ケア科・研修医教育科・国際保健医療科とともに地域医療部につくられた。その当時の設立の紹介文では、「佐久病院本院の専門的医療は非常に大事である。しかし、第一線の地域診療所の仕事も極めて大事であり、佐久病院の原点に照らしても、診療所の重要性は増している。(中略)外に行き専門的医療を勉強してくることだけでなく、地域診療所へ出て行くことが佐久病院の医師として大事な研修であり、使命ではないか」となっている。地域診療所科創設以前より、へき地中核病院でもある佐久病院より近隣の5カ村(浅科村ー合併で4月より佐久市・川上村・北相木村・南相木村・南牧村)の国保診療所には医師が派遣されていたが、近年は、診療所医師の常勤・常駐化がすすんできた。5つの診療所を取り巻く地域性や環境もそれぞれ相当に異なるため、地域診療所科として簡単にまとめることは容易ではないが、大きく分けると、佐久病院に近く比較的地方都市的な要素の強い浅科診療所と、南佐久南部の中山間地域・純農村地域の他の4診療所となる。4診療所は地理的に佐久病院の小海分院との結びつきが強くなる。基本的に各診療所長は週1回佐久病院に勤務するため、特徴のある病診連携がとられていると考えられる。これらの診療所の紹介を行なうとともに病診連携の観点で、診療所医師の活動を報告する。
     診療所医師の派遣は古くより行なわれてきていた一方、地域診療所科としてのまとまった活動は最近までほとんどなかったが、今春よりはじまった新臨床研修制度下での地域医療・保健研修のあり方の議論やプログラム作成に関与することとなった。地域医療・保健研修においては、今までも特に南佐久南部の中山間地域に存在する4つの国保診療所と小海分院とにおいて、全国に先駆けて20年以上前より研修医教育が行なわれてきていたが、今後更なる充実を図る予定である。
     また今春より、今までは各診療所ごとに受け入れていた、佐久病院へ実習に来る医学生を週1日診療所で受け入れる活動を、地域診療所科を通して診療所研修希望者を割り振るという形にした。また診療所実習の志望動機を事前に文章で提出してもらい、学生の希望にできるだけあうと思われる診療所に割り振ることとした。各診療所と直接連絡を取り合い受け入れられた学生数人を除いて、このような形で診療所で受け入れた学生は、今春だけで24人にのぼった。佐久病院の実習終了後の感想文を確認すると、ほぼすべての実習生が、診療所実習について肯定的な経験をしたと感想に述べており、診療所で受け入れることは実習学生にとって意義があることと考えられた。
     各診療所とも、佐久病院付属ではなく国保診療所であり医師側の意向だけ受け入れをすすめていくことが困難であることや、かなり多忙な診療所が多いことなどから、受け入れ側において、今後検討していく課題も浮かび上がってきたが、地域診療所、中でも農村僻地で働く医師が不足する現在において、診療所の特性を感じてもらうという点だけでなく、将来の仲間を作るという観点からも地域診療所科としては積極的に受け入れを進めていきたいと考えている。
  • 三浦 篤史, 依田 一美, 山本 亮, 松川 喜代子, 小榑 菜美
    日本医療薬学会年会講演要旨集
    2008年 18 巻 21-P2-314
    発行日: 2008/09/01
    公開日: 2019/01/19
    会議録・要旨集 フリー
  • 藤田 公生
    日本農村医学会雑誌
    1974年 23 巻 1 号 20-26
    発行日: 1974/02/01
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    In a year, from the beginning of my clinic on July 1972 until June 1973, 1, 110 patients have visited; 628 were male and 482 were female.Males showed the tendency to retain hospital visit in spring and autumn when they are busy with farming.Out of 1, 110 patients 71 were refered from doctors outside of the hospital, 346 were from other clinics in the hospital.
    Diseases were classified following the International Classification of Disease.Simple cystitis, benign prostatic hypertrophy and upper urinary tract calculi were most frequent.
    Their, and also doctors who concerned, misunderstanding and ignorance of recent progress in urological management stimulated me to survey my experience and explain modern trends in the field.Urinary tract tuberculosis were sometimes considered as nonspecific chronic cystitis;ureteral stones were not recognized on x-ray film;postrenal uremic state were confused with renal parenchymal failure. The value of pyelolithotomy in situ and transurethral resection were also stressed.
  • 若月 俊一, 松島 松翠, 河西 朗, 新津 浩一
    産業医学
    1967年 9 巻 3 号 347-
    発行日: 1967/03/20
    公開日: 2018/12/30
    ジャーナル フリー
  • ~当院グループにおける共通評価を用いたとりくみ~
    櫻井 進一, 吉池 章吾, 櫻本 一平, 金井 優作, 荻原 裕輔, 宮森 拓真, 林 有理
    理学療法学Supplement
    2019年 46S1 巻 1-P-F-4-3
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/20
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】

    当院では大腿骨近位部骨折の術後患者において術後約2週間での転院か退院を行うクリニカルパスを用いているが、直接自宅退院が可能な症例は1割程度であり、リハビリ継続目的での転院例が多くを占めている。そのため急性期のセラピストは、多くの担当症例の最終的な帰結について十分に把握できていないのが現状であり、急性期での理学療法の役割や進め方、予後予測に関して、最終帰結を踏まえた考察が十分に行えていない。そこで、当院グループにおける転院先施設において、大腿骨近位部骨折患者における共通評価項目を導入し、急性期病院~転院先施設の入院期間を通したアウトカムについて整理を行う取り組みを行ったのでここにその報告を行う。

     

    【方法】

    当院(急性期)理学療法士に大腿骨近位部骨折の最終的なアウトカム評価の必要性とその評価項目についてアンケート調査を行った後、当院グループ病院2施設の理学療法士と共同で共通評価項目を作成し、2017年1月より評価を開始した。2017年1月~2018年3月において、当院にて大腿骨近位部骨折に対する手術及び理学療法を実施した65歳以上の103例(平均年齢85.3歳)のうち、当院グループ病院2施設に転院し理学療法を継続した55例(53%)の中で共通評価を行えた38例(69%)を対象とし、対象者の基本属性(性別、年齢、受傷前所在)、障害分類(転子部/頚部)、術式(骨接合術/人工骨頭置換術)、在院日数(急性期/転院先/全期間)、最終転帰先、移動能力変化(改善有無)、歩行再獲得例、等について後方視的に診療録を調査した。

     

    【結果】

    対象者の年齢は85.6±7.3歳、性別(男6例/女32例)、受傷前所在(自宅27例/老健・福祉施設7例/その他4例)、在院日数(急性期:19.8±7.4日/転院先:60.6±32.8日/全期間:78.4±35.6日)、最終転帰先:(自宅25例/老健・福祉施設12例/死亡1例),移動能力変化(改善有無):(有10例/無28例;改善率26.3%),歩行再獲得34例中25例(74%)であった。

     

    【結論】

    急性期病院での理学療法を行う中で、患者や家族と最終帰結までの期間や目標を共有し、そのための適切なプログラムを組み立てることは難しいのが現状である。今回、グループ内での施設間共通評価を行うことで、最終帰結までの期間や転帰先、歩行能力の変化などのアウトカムが整理できた。この結果を用いて、科内教育や患者・家族との目標の共有、転院先病院によるアウトカムの比較、また最終的な転帰先の予測因子となる急性期での評価項目の検討などを行っていきたい。

     

    【倫理的配慮,説明と同意】

    研究はヘルシンキ宣言を遵守し、当院倫理審査委員会の規定に基づいて実施された。また個人情報保護のため得られたデータは匿名化し、個人情報が特定できないように配慮した。

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