背景. 胃癌, 大腸癌術後に異時性肺転移を来し, 原発性肺癌との鑑別が困難であった症例を経験したので報告する.
症例. 62歳女性, 胃癌, 大腸癌に対して胃亜全摘術+右半結腸切除術+胆嚢摘出術が施行されていた. 術前の胸部CT所見において右S
2に径5mmの結節影を認めていたが, そのまま経過観察となっていた. 術後1年半の胸部CT所見において右S
2の結節影には変化がなかったが, 新たに左S
1+2に陰影を認めた. 右S
2の結節影は炎症性変化と判断し, 左S
1+2の陰影に対して手術を施行した. 術中迅速にて原発性肺癌を否定できず, 左上葉切除術+両側リンパ節郭清を施行した. 永久標本では組織型は腸型高分化型腺癌で, 大腸癌の肺転移と診断された. 外来フォロー中のCT所見にて右S
2の結節影の増大と, 新たに右肺門部に1cm大の結節を認めたため, 右上葉切除術+リンパ節郭清を施行した. 永久標本にて胃癌の肺転移と診断された.
結論. 胃癌, 大腸癌の重複癌術後に, 異時性に反対側の肺転移を来した症例を経験した.
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