消化性潰瘍患者50例 (胃潰瘍40例, 十二指腸潰瘍10例) を対象とし, 胃液分泌, 血清ガストリン, インスリン, IgE値について検討した.胃液分泌では, 胃潰瘍の初発, 再発の分類では, 基礎分泌試験で最高総酸度, 刺激分泌試験で胃液分泌量, 酸分泌量, 遊離塩酸量が再発潰瘍症例の場合, 有意に高値を示していた.胃潰瘍症例で, 壮年・老年に分けるとテトラガストリン刺激前, 刺激後10, 30, 40分で, 老年例が有意に高値を示していた.空腹時血清ガストリン値は, 十二指腸潰瘍症例では高値を示す症例はなく, 胃潰瘍症例に高値であるものが多くみられた.胃潰瘍を部位別にみた場合, 胃中部 (M) , 下部 (A) の症例に高値を示すものが多かった.また, 胃潰瘍の難治度でみた場合, 難治である所見群B (白壁, 伊藤の分類) に高値を示す傾向がみられた.空腹時血清インスリン値は, 胃, 十二指腸潰瘍例で約半数に高値を示し, 特に胃の再発潰瘍症例 (70.0%) では, 初発潰瘍症例 (40.0%) より高値を示した.空腹時血清IgE値は, すべて正常範囲であったが, 胃潰瘍の初発, 再発別でみると, 再発潰瘍症例は, 有意に高値を示した.
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