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クエリ検索: "佐藤惇"
117件中 1-20の結果を表示しています
  • 高橋 郁生
    表面技術
    2006年 57 巻 4 号 267
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/14
    ジャーナル フリー
  • 脱リグニンの促進および炭水化物の安定化
    佐藤 惇夫, 野村 芳禾, 中村 正人, 中野 準三, 石津 敦
    紙パ技協誌
    1979年 33 巻 6 号 410-417
    発行日: 1979/06/01
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    The reaction mechanism of 1, 4, 11, 12-tetrahydroanthraquinone (THAQ) in alkaline cooking has been studied. The results are summarized as follows :
    (1) The addition of 0.05% THAQ per o. d. wood powder to soda or kraft cooking liquor accelerates the delignification remarkably and increases pulp yield by 2.03.5%. THAQ has such a catalytic effect more remarkably on soda cooking than on kraft cooking.
    (2) THAQ shows the same level of delignification with and without oxygen in the cooking system.
    (3) Decrease of DPv of cellulose during cooking is suppressed by the presence of THAQ. THAQ reduces the formation of isosaccharinic acid which comes from reducing end groups of carbohydrates in alkaline cooking. These results shows that THAQ suppresses the peeling reaction by oxidizing the reducing end units of carbohydrates to aldonic acid type units.
    (4) It is thought that THAQ is reduced mainly by carbohydrate and the reduced one is oxidized mainly by lignin.
  • 日本消化機病学会雑誌
    1926年 25 巻 4 号 258
    発行日: 1926年
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
  • 清酒醸造用水の成分間の関係
    嘉納 成三
    日本農芸化学会誌
    1961年 35 巻 13 号 1309-1311
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    醸造用水の成分間の根関係数を求めこれより醸造用水の性質を検討した.一般にNaとCl, MgとClの組合せが最も多く考えられ他がこれに次ぐ. CaではCaとSO3, CaとCO2が主に考えられる. Kは水により異り宮水及び銘醸地の水はKとClの組合せが最も多く考えられ,他の水でのKとCO2, KとSO3の組合せが考えられるのと異る.このことはK含量の多いことと相まって宮水及び銘醸地の水を特徴づける性質と考えられる.
    終りに当り終始御懇篤なる御指導御鞭撻を戴いた坂口謹一郎先生,有馬啓先生に,統計的処理について御教示を戴いた市川邦介氏に深謝します.
  • 回復期脳卒中患者における検討
    佐藤 惇史, 藤田 貴昭, 大橋 拓朗, 西山 和貴, 山根 和広, 片平 安美, 遠藤 征彦, 大橋 悠司, 鈴木 大介, 山本 優一
    理学療法学Supplement
    2015年 2014 巻 P1-A-0074
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/04/30
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】近年,栄養状態の指標とされる血清アルブミン値(ALB)とリハビリテーション(リハ)効果の関連性を指摘した報告が散見されるようになり,回復期脳卒中患者の入院時ALBは,退院時の移動能力,Functional Independent Measure運動項目(FIMm),在宅復帰など様々な退院時アウトカムに関連することが報告されている。しかし,これらのアウトカムやALBには,年齢や入院時の機能状態が強く関連するため,ALBが単独で退院時アウトカムに与える影響を調べるためには,種々の交絡因子を排除することが必要である。そこで本研究では偏相関分析を用いて交絡因子を調整することで,入院時ALBが単独でADLや心身機能の退院時アウトカムに与える影響を検討した。【方法】対象は脳梗塞,脳出血と診断され,当院回復期リハ病棟に入院した59名とした。カルテより年齢,ALB,Berg Balance Scale(BBS),Stroke Impairment Assessment Set(SIAS),Vitality Index(VI),FIMm,FIM認知項目(FIMc)を収集した。入院時ALBと各項目の退院時得点および入院から退院までの利得の関連性を,Spearmanの順位相関と偏順位相関を用いて分析した。偏相関分析では各項目の入院時得点と年齢を制御因子として分析した。有意水準は5%とした。【結果と考察】相関分析の結果,入院時ALBと退院時BBS,SIAS,VI,FIMm,FIMc,BBS利得,FIMm利得の間に相関が認められた。一方,偏相関分析では,ALBと全ての項目の間に相関は認められなかった。本研究の結果は,相関分析で認められた入院時ALBと退院時アウトカムの相関は疑似相関である可能性があり,同時に入院時ALB値は直接的に退院時アウトカムに関連しない可能性を示唆するものである。今後,更なる検討が必要である。
  • 佐藤惇
    史, 藤田貴昭, 山本優一
    関東甲信越ブロック理学療法士学会
    2016年 35 巻
    発行日: 2016年
    公開日: 2021/03/12
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】回復期リハビリテーション病棟で重要な役割となる対象者の自宅復帰は、対象者自身の日常生活活動(ADL) 自立度に加え、家族の介護力にも依存すると考えられる。本研究の目的は脳卒中患者において、入院時から自宅復帰の可否を予測し得るADL 自立度のカットオフ値を、家族の介護力別に算出することである。

    【方法】対象は、「日本リハビリテーション・データベース協議会」の脳卒中回復期病棟版に登録された4949 名のうち、選択基準を満たし、欠損値、異常値を示すものを除外した1574 名とした。除外基準として、死亡、急変や胃瘻造設による転科、発症前より施設などの自宅以外で生活していた者とした。分析は、従属変数を自宅退院の可否、独立変数を入院時Functional Independence Measure(FIM)としたReceiver Operating Characteristic(ROC)解析を、家族の介護力無し、介護者1人、介護者2人以上の対象者および全対象のそれぞれで行った。

    【結果】介護力なしが75 点(AUC0.84、感度74%、特異度82%)、介護者1 人が62 点(AUC0.84、感度69%、特異度88%)、介護者2 人以上が48 点(AUC0.82、感度71%、特異度84%) 、全対象が56 点(AUC0.81、感度76%、特異度74%)であった。

    【考察】自宅退院の可否を分ける入院時ADL 自立度は家族の介護力によって変化すること、および定量的な基準を示すカットオフ値が明らかになった。同カットオフ値は自宅退院を見据えたADL 向上の具体的数値目標の設定に活用できると思われる。

    【まとめ】自宅復帰可否に関する脳卒中患者の入院時ADL 自立度のカットオフ値は家族の介護力によって変化する。

    【倫理的配慮】本データは、日本リハビリテーション医学会研究倫理審査会で、疫学調査の倫理指針に照らして倫理上の問題がないと確認されている。

  • *鈴木 淳平, 石黒 元基, 今井 康源, 山田 貴孝, 佐藤 惇哉, 青野 翔大, 林 俊樹
    ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
    2023年 2023 巻 2P1-B08
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/25
    会議録・要旨集 認証あり

    This paper describes robotic assembly of gear motors. The gear motors consist of gear, stator, rotor, and so on. We develop a lifting-type robot hand for the rotor. The hand is equipped with servo motors, a force sensor, and an RGB-D camera. Template matching and affine transformation are used to recognize the angle of rotor. In experiments, the rotor is recognized by the image sensor, held by the hand, and checked by the force senser.

  • *佐藤 惇司, 戸崎 広一, 小宮 成義, 直田 健
    基礎有機化学討論会要旨集(基礎有機化学連合討論会予稿集)
    2008年 2008 巻 1P079
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
    我々は環状2核錯体の回転平面の中心に金属を導入することにより、回転平面部位の柔軟性及び錯体部分における外部との相互作用を見出しC-C結合を軸にした分子内水車型回転が制御できることを初めて見出している。今回、光学活性酒石酸誘導体存在下syn-1から(+)-anti-1への異性化を最大47% eeで達成した。酒石酸誘導体の芳香族性置換基の共役系を拡大することで選択性の向上が見られた。また、本系では顕著な溶媒効果が得られCH2Cl2中とTHF中において21000倍の速度差を見出した。今回の不斉誘起を速度論的に解析した結果、光学活性酒石酸誘導体によるsyn体のキラルな配位面のエナンチオ面選択と両者のπ-スタッキングに基づくエントロピー支配型回転によって制御されていることが明らかとなった。
  • 加藤 さやか, 奥田 裕, 佐藤 惇史, 木村 紀彦, 保科 憲幸
    理学療法学Supplement
    2016年 2015 巻 P-NV-19-2
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/28
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに,目的】ベッド・車椅子間の移乗動作は,回復期病棟での早期ADLの獲得に向け,重要な項目である。下肢機能や立ち上がり,静的動的立位,方向転換等の検討はされているが,体幹機能を含めた運動機能での検討が少ない。そこで今回我々は,体幹機能を含めた運動機能の側面から移乗動作自立に影響する要因を検討していく。【方法】当法人回復期病院9施設の多施設共同研究にて実施した。対象は平成27年8月~9月の間に入院した脳卒中患者で,小脳や脳幹の病変により明らかに失調症状を生じている患者,重度の意識障害,重度の高次脳機能障害,重度の骨関節疾患や下肢の痛み,視力により立ち上がり制限のある患者は除外した。収集された症例数は143名(男性86名,女性57名,年齢60.7±15.2歳,発症からの日数39.5±29.5日,右片麻痺70名,左片麻痺65名,両側片麻痺8名)。横断研究にて実施し,検査項目は,Functional independence measure(以下FIM)の移乗動作(ベッド・椅子・車イス),臨床的体幹機能検査(Functional Assessment for Control of Trunk,以下FACT),Stroke Impairment Assessment Set(以下SIAS)の上肢(近位・遠位),下肢(近位股関節・近位膝関節・遠位),Brunnstrom Recovery Stage(以下BRS),Functional Reach Test(以下FRT)の立位・座位とした。統計処理はSPSSver22を使用し,多重共線性の問題を避けるため事前に,自立群-監視群(136名),監視群-介助群(45名)のそれぞれで,項目間の相関変数を求め,移乗自立度を従属変数としたステップワイズ多重ロジスティック回帰分析(変数減少法)を行った。移乗自立度はFIMの移乗動作能力(ベッド・車椅子間)で1~4点を介助群,5点を監視群,6~7点を自立群とした。【結果】独立変数間で0.8以上の高い相関の項目を考慮した結果,自立-監視群ではFACT,SIAS上肢(近位),下肢(近位股関節,遠位),FRT(立位・座位),監視-介助群ではFACT,SIAS上肢(近位),下肢(近位股関節),FRT(立位・座位)を多重ロジスティック解析の独立変数とした。ロジスティック回帰分析では,自立-監視群でオッズ比0.86(95%CI:0.78-0.94)で体幹機能:FACT,監視-介助群でオッズ比0.40(95%CI:0.18-0.89)でSIAS下肢(近位股関節)のみが有意な変数として採択された。【結論】多施設共同研究にて脳卒中患者に対して移乗動作自立に関係する因子を多重ロジスティック解析にて検討した。運動機能において,自立-監視群では「体幹機能:FACT」,監視―介助群では「SIAS下肢(近位股関節)」のみが有意な変数として採択された。
  • 山田 実, 石山 大介, 西尾 尚倫, 篠原 淳, 木村 鷹介, 阿部 祐樹, 小山 真吾, 佐藤 惇史, 大路 駿介, 音部 雄平, 田中 友也, 荒井 秀典
    理学療法学Supplement
    2017年 2016 巻 O-YB-03-3
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/04/24
    会議録・要旨集 フリー

    【はじめに,目的】

    2016年10月,サルコペニアは国際疾病分類に登録され,今後,臨床応用に向けた研究が加速するものと推測される。その中で,サルコペニアの骨格筋特性については未だ不明な点も多く,臨床応用に向けて種々の課題を抱えている。本研究の目的は,サルコペニア,プレサルコペニア,ダイナペニア,ノーマルの4群で,各々の骨格筋特性がどのように異なるのかを検証することである。

    【方法】

    対象は,地域在住高齢女性とし,重篤な骨関節疾患,中枢神経疾患,呼吸循環器疾患,肝疾患,腎疾患を有するものは除外した。AWGSの診断基準に従いサルコペニア判定を行った。また,AWGSの基準値を用い,骨格筋量は減少しているが運動機能は正常者をプレサルコペニア,運動機能は低下しているが骨格筋量は正常な者をダイナペニアと定義した。測定項目は,生体電気インピーダンス法による四肢骨格筋量(SMI),多周波インピーダンス計による大腿部のmuscle densityおよび筋体積量,超音波画像診断装置による大腿前面筋(大腿直筋,中間広筋)の筋厚および骨格筋内脂肪(IMAT)の推定,さらに徒手筋力計による膝伸展トルク(Nm)とした。なお,膝伸展トルクと大腿前面筋厚よりmuscle quality(Nm/cm)を算出した。これら測定値を,4群間(サルコペニア,プレサルコペニア,ダイナペニア,ノーマル)で比較するために一般線形モデルを用いて分析した(従属変数:各々の測定項目,独立変数:4群,共変量:年齢)。さらに,ノーマルと各群の効果量(Cohen's d)を求め,機能低下に伴い影響を受けやすい項目を検討した。

    【結果】

    高齢女性188名(80.6±7.1歳)が参加し,サルコペニア41名(82.9±6.6歳),プレサルコペニア14名(80.3±5.3歳),ダイナペニア60名(84.2±6.2歳),ノーマル73名(76.5±6.4歳)であった。一般線形モデルで有意であった項目は,SMI,筋体積量,IMAT,膝伸展トルク,muscle qualityであった(p<0.05)。効果量は,“量の指標”となるSMIと筋体積量でサルコペニアおよびプレサルコペニアで大きく(d=1.27-2.05),“質の指標”となるmuscle qualityとIMAT,“出力の指標”となる膝伸展トルクではサルコペニアおよびダイナペニアで比較的大きな値を示した(d=0.54-0.89)。

    【結論】

    サルコペニア高齢者では,骨格筋の量,質,出力の指標の全てが低下していることが示された。ダイナペニアはIMATが多くmuscle densityが低下した状態にあり,プレサルコペニアよりも骨格筋機能は低下した状態にあると考えられた。

  • 日本リハビリテーション・データベースを用いた分析
    佐藤 惇史, 藤田 貴昭, 山本 優一
    理学療法学Supplement
    2016年 2015 巻 O-NV-04-5
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/28
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに,目的】回復期リハビリテーション(リハ)分野では,対象者の自宅復帰が目標の一つになることが多い。自宅復帰の可否には対象者の日常生活活動(ADL)自立度が重要となるため,近年,ADLの予後予測に関する知見が多く報告されている。一方,自宅復帰は臨床的に家族の介護力にも左右される部分が大きく,退院時のADL自立度の予測値だけでは自宅復帰の可否を予測することが困難である。そこで本研究の目的は,家族の介護力に対応する自宅復帰に必要なADL自立度のカットオフポイントを算出することで,転帰先の予後予測を検討する資料を作成することである。【方法】対象は,リハに関わる国内最大のデータベースを構築,運用する「日本リハビリテーション・データベース協議会(JARD)」の脳卒中回復期病棟版に2014年5月までに登録された4949名で,このうち選択基準を満たし,欠損値,異常値を示すものを除外した1600名とした。除外基準として,死亡,急変や胃瘻造設による転科,発症前より施設などの自宅以外で生活していた者とした。対象者の観察項目は,性別,年齢,脳卒中病型,退院先,介護力,退院時のFunctional Independence Measure(FIM)およびBarthel Index(BI)とした。分析は,全対象,家族の介護力無し,介護者1人以上,介護者2人以上のそれぞれにおいて,従属変数を自宅復帰の可否,独立変数を退院時のFIMとBIとしたReceiver Operating Characteristic(ROC)解析を行い,カットオフ値を算出した。また,カットオフ値の精度についてはROC曲線下面積(AUC),感度,特異度を算出し検討した。統計ソフトは,SPSS ver.22 for windowsを用いた。【結果】FIMでは,全対象が90点(AUC0.89,感度78%,特異度81%),介護力なしが102点(AUC0.89,感度80%,特異度88%),介護者1人以上が87点(AUC0.88,感度79%,特異度83%),介護者2人以上が86点(AUC0.90,感度71%,特異度97%)であった。BIでは,全対象が65点(AUC0.85,感度77%,特異度81%),介護力なしが75点(AUC0.87,感度83%,特異度84%),介護者1人以上が60点(AUC0.87,感度79%,特異度82%),介護者2人以上が40点(AUC0.89,感度85%,特異度81%)であった。【結論】本研究から,家族の介護力が大きいほど自宅復帰に必要なADL自立度の水準は低くなること,そして介護力に応じた自宅復帰に必要なADL自立度の具体的なカットオフ値が示された。またAUCの結果から,カットオフ値の精度は実用的なものであると考えられる。本研究結果はADL予後予測式と組み合わせることで,自宅復帰の可否や退院可能な時期の予測に活用できると思われる。
  • 清酒酵母の生育より見た麹エキスのK含量の検討
    竹村(旧姓嘉納) 成三
    日本農芸化学会誌
    1962年 36 巻 8 号 634-635
    発行日: 1962年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    清酒酵母の生育に対し,麹エキスはK含量の面においては不足である. K不足の場合の清酒酵母におけるK及びNa含量の変化は人工培地の場合と全く異ならず, K不足の場合の菌体K含量は, K十分量の場合より少なく,反面Na含量が多くなっている.
  • 奥田 裕, 佐藤 惇史, 田中 重成, 木村 紀彦, 保科 憲幸, 加藤 さやか, 小澤 佑介
    理学療法学Supplement
    2016年 2015 巻 P-NV-25-3
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/28
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに,目的】本研究の目的は,脳卒中片麻痺者の歩行自立に影響する運動機能について明らかにすることである。さらに,カットオフ値についても検討し,歩行自立の臨床判断および理学療法プログラムの活用に寄与することとした。【方法】回復期病院9施設の多施設共同研究にて実施した。対象は一側大脳半球に病巣を有する脳卒中片麻痺者で,小脳や脳幹の病変による明らかな失調症状を生じているもの,原疾患に対する治療により安静度が制限されているもの,検査の実施が困難な著しい高次脳機能障害や認知症を伴うもの,重度の骨関節疾患や下肢の痛み,視力障害により歩行制限のあるもの,2回以上の発作を生じたものは除外した。収集された症例数は193名(男性120名,女性73名,年齢66.8±14.8歳,発症からの日数104.5±79.1日,右麻痺93名,左麻痺100名)。横断研究にて実施し,検査項目は,FIM(Functional Impairment Measure)の歩行自立度,臨床的体幹機能検査(FACT:Functional Assessment for Control of Trunk),SIAS(Stroke Impairment Assessment Set)の上肢(近位・遠位),下肢(近位股関節・近位膝関節・遠位),体幹機能(腹筋力・垂直性),非麻痺側機能(大腿四頭筋筋力),BRS(Brunnstrom Recovery Stage)。統計処理はSPSS ver22 for Windowsを使用した。多重共線性の問題を避けるため事前に独立変数間で相関変数を求め,歩行自立度を従属変数としたステップワイズ多重ロジスティック回帰分析を行った。歩行自立度はFIMの歩行能力で1~5点を非自立群,6,7点を自立群とした。さらにロジスティック回帰分析によって選択された因子は,ROC(Receiver Operating Characteristic)曲線を用いて,曲線下面積(AUC:Area Under the Curve)にて適合性を判定し,歩行自立・非自立を判別するカットオフ値を検討した。カットオフ値はYouden indexを使用した。【結果】独立変数間で0.8以上の高い相関の項目を考慮した結果,SIAS上肢(遠位),下肢(近位股関節・遠位),体幹(腹筋力・垂直性),非麻痺側機能,BRS下肢,FACTを多重ロジスティック解析の独立変数とした。ロジスティック解析分析ではオッズ比1.97(95%CI:1.37-2.83)で「BRS下肢」,1.43(95%CI:0.95-2.15)で「SIAS体幹腹筋力」,1.21(95%CI:1.10-1.33)で「体幹機能:FACT」が有意な変数として採択された。さらに歩行自立のカットオフ値は「BRS下肢」stageV,「SIAS体幹腹筋力」3点,「体幹機能:FACT」14点となった。【結論】多施設共同研究にて,脳卒中片麻痺者に対して歩行自立に関係する因子を多重ロジスティック解析にて検討した。運動機能において「BRS下肢」,「SIAS体幹腹筋力」,「体幹機能:FACT」が有意な変数として採択され,それぞれのカットオフ値が,「BRS下肢」stageV,「体幹腹筋力」3点,「体幹機能:FACT」14点となった。
  • 脱リグニン速度の促進機構 リグニンの研究 第101報
    矢口 時也, 細谷 修二, 中野 準三, 野村 芳禾, 佐藤 惇夫, 中村 正人
    紙パ技協誌
    1979年 33 巻 10 号 666-672
    発行日: 1979年
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    The mechanism of rapid delignification during alkaline cooking with addition of 1, 4, 11, 12-tetrahydroanthraquinone (THAO) has been studied by the use of guaiacylglycerol-β-guaiacyl ether (GG) as a lignin model compound. The results are summarized as follows :
    (1) THAQ accelerates the β-ether cleavage during soda cooking of GG.
    (2) Carbohydrates have the acceleration effect on the β-ether cleavage of GG during soda cooking with THAQ. THAQ works as a redox catalyst on the β-ether cleavage of GG with addition of carbohydrates.
    (3) THAQ accelerates the β-ether cleavage during kraft cooking of GG in the same way as soda cooking of GG.
    These results mean that the mechanism of rapid delignification during soda and kraf cooking with addition of THAQ can be explained by the acceleration of the β-ether cleavage of lignin.
  • 回復期脳卒中患者における検討
    木村 鷹介, 山田 実, 石山 大介, 西尾 尚倫, 阿部 祐樹, 田中 友也, 佐藤 惇史, 小山 真吾, 音部 雄平, 國枝 洋太, 濱中 康治, 田中 尚喜, 室生 祥
    理学療法学Supplement
    2017年 2016 巻 P-NV-26-5
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/04/24
    会議録・要旨集 フリー

    【はじめに,目的】脳卒中患者の機能回復を予測することは重要であり,先行研究では,年齢や認知機能など様々な因子が機能回復に関連すると報告されている。また,栄養状態も機能回復に関連する因子であり,その指標としてBody mass index(以下BMI)や血清アルブミン値(以下Alb)などが用いられている。しかし,BMIやAlbを単独で用いた先行研究では,機能回復に及ぼす影響について一定の見解は得られていない。近年,栄養状態の評価では複数の指標を組み合わせることが推奨されており,BMIとAlbについても組み合わせることでより鋭敏に栄養状態を捉えられる可能性がある。そこで,本研究の目的は,BMIとAlbの組み合わせが回復期脳卒中患者の機能回復に及ぼす影響を明らかにすることとした。

    【方法】デザインは後ろ向き観察研究とした。対象は2011年4月から2016年3月の間に当院回復期病棟に入棟していた脳卒中患者253例とした(平均年齢68.9±12.3歳,男性67.2%)。包含基準は,一側性の大脳半球損傷であった者,発症前ADLが自立していた者,入棟時に経口摂取が可能であった者とした。除外基準は,入棟時のBMIが27.5kg/m2以上であった者,入棟中に医学的状態が増悪した者とした。調査項目は,入棟時のBMIとAlbに加えて年齢,性別,脳卒中の病型,脳の損傷側,発症から入棟までの日数,入棟期間,併存疾患,Brunnstrom stage,半側空間無視の有無,失語の有無,FIMとした。本研究では,BMIについては18.5kg/m2未満を低BMI,Albについては3.5g/dL未満を低Albと定義して2値化し,それぞれの組み合わせによって対象者を4群に分類した(Group1;低BMI×低Alb,Group2;低BMI×Alb正常,Group3;BMI正常×低Alb,Group4;BMI正常×Alb正常)。アウトカム指標にはMotor-FIM effectivenessを用いた。本研究では,Motor-FIM effectivenessの第1四分位以下を機能回復不良と定義した。統計解析では,従属変数にMotor-FIM effectivenessを,説明変数にBMIとAlbの組み合わせを,さらに調整変数に単変量解析にてp<.10であった項目を投入したロジスティック回帰分析(強制投入法)を行った。

    【結果】Group1は23名(76.1±10.5歳,男性52.2%),Group2は23名(72.0±11.4歳,60.9%),Group3は80名(71.7±11.5歳,70.0%),Group4は127名(65.1±11.2歳,69.2%)であった。全対象者におけるMotor-FIM effectiveness(平均値±標準偏差)は0.51±0.30であった。そのうち,Group1は0.30±0.21,Group2は0.38±0.22,Group3は0.46±0.27,Group4は0.60±0.30であった。ロジスティック回帰分析の結果,Group4をreferenceとした際に,Group1の調整済みオッズ比(95%CI,p値)は4.13(1.53-11.15,p<.01),Group2は2.69(1.03-7.08,p<.05),Group3は2.15(1.10-4.21,p<.05)であった。

    【結論】脳卒中患者の機能回復は,低BMIと低Albを併せ持った場合に最も不良となる可能性が示された。

  • 大橋 悠司, 藤田 貴昭, 西山 和貴, 山本 優一, 大槻 剛智, 大平 葉子, 佐藤 惇史
    理学療法学Supplement
    2016年 2015 巻 O-NV-16-5
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/28
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに,目的】運動機能は知覚機能や認知機能よりも脳卒中患者の機能的な自立に大きく寄与することが報告され,特にバランス機能は歩行やADLと強く関連することが多くの研究により支持されている(Harris, et al., 2005;Mercier, et al., 2001)。そのため,脳卒中患者のバランス機能の予後を早期に予測することは,移動手段やADLの目標や介入の方向性を検討する際に重要な情報となる。これまで脳卒中患者の予後予側は様々な知見が報告されているが,それらはADLや運動機能,在院日数などに着目したものであり,バランス機能の予測を目的とした研究は非常に少ない。そこで本研究の目的は,回復期リハビリテーション(リハ)病棟の脳卒中患者の入院時の評価結果から退院時のバランス能力を予測する回帰式を作成することである。【方法】本研究の後方視的観察研究であり,すでに退院した患者の診療録情報を収集し分析した。対象は脳梗塞または脳出血と診断されA病院回復期リハビリテーション病棟に入院した脳卒中患者100名(男性60名,年齢70.6±13.3歳)とした。解析に用いる項目は,年齢,入院時の発症後期間,入院時および退院時Berg Balance Scale(BBS),入院時Stroke Impairment Assessment Set(SIAS)各項目とした。方法は,まず退院時BBS予測式の作成を目的とした重回帰分析に投入する独立変数を選択するため,退院時BBSと各項目の相関係数を算出した。次に,相関係数が0.6以上であった項目を独立変数,退院時BBSを従属変数とした重回帰分析(ステップワイズ法)を行い,退院時BBSの回帰式を求めた。なお多重共線性の問題を回避するため,独立変数間で相関係数が0.8以上のペアが存在した場合,ペアの一方の変数を分析から除外した。統計処理にはR2.8.1を使用した。【結果】相関分析の結果,退院時BBSとの相関係数が0.6以上であった項目は,入院時のBBS,SIAS下肢近位・股,SIAS下肢近位・膝,垂直性,腹筋力,非麻痺側大腿四頭筋力であった。SIAS下肢近位・股と下肢近位・膝の間の相関係数はrs=0.94であったため,重回帰分析にSIAS下肢近位・股は投入しなかった。重回帰分析の結果,作成された回帰式は退院時BBS=入院時BBS×0.455+入院時SIAS垂直性×5.681+入院時SIAS非麻痺側大腿四頭筋力×5.620-1.734であった。調整済み決定係数は0.78であった。【結論】本研究から,一定の精度を有する回復期リハ病棟退院時のバランス機能を予測する回帰式が得られた。本回帰式は入院時から退院時に必要な環境調整などの想定を可能とし,介入計画の立案に有用な指標になると考えられる。また回帰式の変数に選択された体幹機能や非麻痺側大腿四頭筋は,バランスと強く関連する要因であることが示唆され,これらの機能に対する介入が効果的にバランス向上に作用する可能性が考えられる。
  • 小山 真吾, 堅田 紘頌, 石山 大介, 藤茂登 順子, 木村 鷹介, 大路 駿介, 田中 友也, 音部 雄平, 佐藤 惇史, 岡嶌 由紀子, 谷 直樹, 山田 実, 山徳 雅人
    理学療法学Supplement
    2017年 2016 巻 O-TK-07-4
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/04/24
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    【はじめに,目的】

    高齢者は入院によりADLが低下し,入院期間が長期化するとされている。一方,急性期病院では機能分化の推進により入院期間の短縮が求められている。そのため,ADLの回復が不十分な状態で退院する高齢者は少なくない。このような背景から急性期病院は医療から介護への円滑な移行を促進するため,高齢入院患者に対して要介護認定新規申請(要介護申請)の必要性を判断し情報提供をする必要がある。しかし,高齢入院患者における要介護申請に影響を与える要因は明らかではない。そこで,本研究の目的は高齢入院患者における要介護申請に影響を与える要因を明らかにすることとした。

    【方法】

    対象は2009年5月から2016年3月までに当院へ入院した75歳以上の内科疾患患者100例(年齢82.6歳±5.13,女性30%)とした。包含基準は,自宅生活をしていた患者,独歩が可能であった患者,退院時に身体機能評価を行えた患者とし,除外基準は,既に要介護認定を受けている患者,神経筋・脳血管疾患患者,疼痛が運動を阻害している運動器疾患患者,指示理解の得られない認知症患者,癌患者,転居や転院となった患者とした。調査測定項目は,要介護申請の有無,年齢,性別,Body Mass Index(BMI),基礎疾患,Charlson Comorbidity Index,歩行補助具使用の有無,入院期間,リハ開始までの期間,同居者の有無,日中同居者の有無,世帯構成人数,家屋環境,最大歩行速度(MWS)[m/s],握力[kgf],等尺性膝伸展筋力体重比(KE)[kgf/kg],片脚立位時間(OLS)[秒]とした。要介護申請の有無は,入院中に要介護申請が行われた場合,新規申請と定義し,申請群,非申請群の2群に選別した。統計解析は,2群間の比較をχ2検定,t検定,U検定を用いて行った。次に,ロジスティック回帰分析(ステップワイズ法)を用いて要介護申請に影響を与える要因を抽出し,その要因であったMWSと日中同居者の有無を組み合わせて4グループ(G1:MWS≧1.0m/s,日中同居。G2:MWS<1.0m/s,日中同居。G3:MWS≧1.0m/s,日中独居。G4:MWS<1.0m/s,日中独居)を作成した。最後に,ロジスティック回帰分析(強制投入法)を用いて,4グループの影響を検討した。なお,有意基準は5%未満とした。

    【結果】

    100例中,申請群は30例(30%),非申請群は70例(70%)であった。2群間の比較では,BMI,入院期間,腎疾患,同居者の有無,日中同居者の有無,世帯構成人数,MWS,握力,KE,OLSで差を認めた(p<0.05)。ステップワイズ法で抽出されたMWSと日中同居者の有無の組み合わせを独立変数とした強制投入法の結果,G1をリファレンスとした各グループのオッズ比は,G2:2.71(95%CI:0.70-10.55,p=0.15),G3:8.16(95%CI:2.12-31.44,p<0.01),G4:27.80(95%CI:2.26-342.15,p<0.01)となり,日中独居かつ歩行速度低下の組み合わせが強く申請に影響していた。

    【結論】

    日中独居で歩行速度が1.0m/s未満の高齢入院患者は,要介護認定を申請する傾向が強くなることが明らかとなった。この結果は,退院支援の一助となる可能性が示唆された。

  • 佐藤 惇史, 藤田 貴昭, 遠藤 征彦, 西山 和貴, 山本 優一
    理学療法学Supplement
    2015年 2014 巻 P1-C-0246
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/04/30
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    【はじめに,目的】脳卒中患者の体力評価に関して様々な評価方法が検討されているが,とりわけ簡便な6分間歩行テストによる最大歩行距離(6MD)は,運動耐応能の指標に有用であることが報告されている。しかし,脳卒中患者の運動耐応能は運動麻痺および麻痺側下肢筋力など種々の要因が関連することが報告されており,脳卒中患者の体力評価としての6MDの位置づけおよび意義をより明確にするためには,6MDと諸運動機能および自覚的運動強度との関連性を明らかにする必要がある。一方で,脳卒中患者における運動に関する諸機能は互いに関連しているため,疑似相関や多重共線性に配慮した分析が必要となる。そこで本研究では回復期脳卒中患者を対象に偏相関分析を用いて,下肢機能,筋緊張,体幹,自覚的運動強度が6MDに与える影響を検討した。【方法】対象は脳梗塞もしくは脳出血と診断され,当院回復期リハビリテーション(以下リハ)病棟に入院した患者で,下肢装具を必要とせずにT字杖または独歩で歩行可能であった48名(男性29名,女性19名)とした。平均年齢は70.1歳(32-92歳)であり,脳梗塞40名,脳出血8名であった。各対象者のカルテから以下の退院時の評価結果を収集し,6MDと諸運動機能および自覚的運動強度の関連を分析した。下肢運動機能および体幹運動機能の指標としてStroke Impairment Assessment Set(以下SIAS)の下肢近位股,下肢近位膝,下肢遠位,下肢筋緊張,腹筋力項目,そして非麻痺側と麻痺側の膝伸展筋力を用いた。膝伸展筋力測定は,Hand Held Dynamometer(ANIMA社製 等尺性筋力計μTas F-1)を使用して3回測定し,その最大値を体重で除した体重比(Nm/kg)を膝伸展筋力の指標とした。6分間歩行テストは最大努力下で行い,テスト終了後に歩行距離とBorgスケールを用いて自覚的運動強度を確認した。各評価は担当理学療法士が実施した。統計学的検討は,6MDと各運動機能の関連性を偏順位相関を用いて分析した。交絡を排除し,各運動機能が独立したかたちで6MDとの相関を求めるため,年齢および6MDと相関係数を求める項目以外の変数を制御因子として投入した。有意水準は5%未満とした。【結果】偏相関分析の結果,6MDと相関を認めた項目は,下肢近位膝(rs=0.41,p<0.01),下肢筋緊張(rs=0.36,p<0.05),腹筋力(rs=0.37,p<0.05)であった。その他の項目では相関は認められなかった。【考察】本研究の結果は,6MDと麻痺側膝の運動麻痺および筋緊張,腹筋力は関連するが,自覚的運動強度であるBorg Scaleは諸運動機能が一定であったと仮定しても6MDと相関しないことを示すものである。つまり,6MDは自覚的な疲労度の影響を受けることは少なく,麻痺側膝の機能および腹筋力の影響を強く受けることが推測される。Pohlら(2002)は,6分間歩行テストと下肢Fugl-Meyer score,Berg Balance Scoreの関連性を報告し,総合的な機能が関連することを示唆している。本研究の結果も種々の身体機能が6MDに関連することを支持する結果であり,特に麻痺側膝の筋緊張を加えた運動機能や腹筋力が重要であることを示唆する結果となった。一方で,先行研究では6MDと関連する要因として,膝関節屈曲筋力(近藤ら,2011),足関節背屈筋力(Shamayら,2012)が挙げられている。今後これらの要因を含めた更なる検討が必要である。【理学療法学研究としての意義】回復期脳卒中患者において,6MDは自覚的疲労度よりも麻痺側下肢や体幹の運動機能を反映する評価法であることが示唆された。歩行距離の延長を目標にリハを行なっていく場合には,有酸素運動に加え,運動機能にも介入を行なっていく必要性があることが示唆された。
  • ―FIMとMASの関連から―
    佐藤 惇史, 大橋 悠司, 山川 裕輝, 山本 優一, 藤田 貴昭
    理学療法学Supplement
    2014年 2013 巻 0882
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに,目的】回復期リハビリテーション(リハ)病棟では,寝たきりの防止と自宅復帰を目的として,積極的な日常生活動作(Activities of Daily Living;ADL)練習が行われる。しかし脳卒中リハのアウトカムには入院時の重症度が大きく影響することが指摘されており,重度の脳卒中患者では機能的自立が難しいとされている(Michael et al,1994)。効率的かつ効果的な介入のためには患者一人ひとりの到達すべき水準を明確にすることが重要であり,そのためには患者の重症度に合わせた予後予測法の検討が必要である。そこで佐藤ら(2013)は中等症から重症の脳卒中患者のADL改善度を予測する指標を検討し,回復期リハ病棟入院中のFIM改善の予測には入院1ヶ月時点のFunctional Balance ScaleとMotor Assessment Scale(MAS)の改善度が有用な指標となる可能性を報告した。本研究では対象を重症脳卒中患者に限定し,MAS項目別の改善度とADLの改善度の関連性について分析した。MASは重症患者で早期獲得が求められる寝返り等の基本動作を客観的に評価が可能であり,基本動作のどの項目がADLの予後に関連するか検討することは意義深いと考える。【方法】対象は,当院回復期病棟に入院した脳卒中片麻痺患者(脳梗塞または脳出血)で,入院時Functional Independence Measure(FIM)が40点以下であった13名(男性4名,女性9名)とした。患者属性は,平均年齢77.6±10.4歳,発症から入院までの期間36.0±21.8日,入院期間100.4±23.4日であった。方法は,各対象者から入院時および退院時のFIM得点と,入院時と1か月時のMASの得点を収集して分析した。MASは信頼性が低いとされる「筋緊張」(Poole et al,1988)を除外した8項目「背臥位から側臥位」「背臥位から端座位」「座位バランス」「座位から立位」「歩行」「上肢機能」「手の運動」「高度な手の活動」を0点から6点の7段階でそれぞれ評価した。分析は,まず入院時と退院時の各MAS項目の得点を比較した。そこで有意差を認めたMAS各項目の入院時と1か月時の得点の差(改善度)を独立変数とし,入退院時のFIM改善度を従属変数とした単回帰分析を実施し,決定係数(R2)が0.5以上のものを有用とした。なお有意水準は両側5%未満とした。統計解析にはR2.8.1を使用した。【倫理的配慮,説明と同意】全ての対象者に対して,評価実施時に評価結果の使用方法の趣旨を説明し同意を得た。視的研究となるため,個人の情報が特定されないよう倫理的な配慮を行った。【結果】入院時と1ヶ月時で有意差を認めたMAS項目は,「背臥位から側臥位へ寝返る」「背臥位からベッド端座位へ起き上がる」「座位バランス」であった。有意差が認められた各3項目で単回帰分析を行なった結果,FIM改善度の有意な説明変数として「座位バランス」(決定係数R2=0.87,p<0.001)が検出された。【考察】入院時に重症とされる患者のADL向上には,入院初期の座位のバランス能力の改善が起居動作,歩行,麻痺側機能などに比べて,大きく影響することが示唆された。江連ら(2010)は座位でのパフォーマンス能力がADLに強く関連するとしており,本結果はそれを支持するものであった。つまり,座位保持の可否だけではなく,座位下で回旋,リーチなどの動作を評価していくことが重要であり,またそれらの動作の向上が効率的にADLを改善することができる可能性がある。入院当初より寝返り動作練習,起き上がり動作練習にリハの比重を置くよりも積極的な座位練習が必要になると考えられる。【理学療法学研究としての意義】脳卒中重症患者において,入院初期のMASの座位バランスの向上が退院までのADLの改善と強い関連がある。したがって,脳卒中重症例に対しては寝返りや起き上がり動作の練習よりも積極的な座位練習が必要である可能性を示した。
  • 大橋 悠司, 山本 優一, 大槻 剛智, 佐藤 惇史
    理学療法学Supplement
    2014年 2013 巻 0566
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに,目的】脳卒中治療ガイドライン2009では,リハビリテーション(以下リハビリ)プログラムを実施する際,日常生活動作(ADL),機能障害,患者属性,併存疾患,社会的予後などをもとに,機能予後を予測し参考にすることが勧められており,既に検証の行われている予測手段を用いることが望ましいとされている。そこで,当院では園田(1995)の研究を参考に予後予測を行い,リハビリプログラムを立案してきた。しかし,予後予測の結果と実際の帰結と差がみられることも少なくなく,特にFunctional Independence Measure(FIM)の改善度が大きいとされる入院時96点未満の脳卒中患者で誤差が大きくなる印象があった。そこで,当院の患者属性(2010年12月~2012年8月)をもとに退院時FIM運動項目(FIM-m)の予測式を作成した(佐藤ら,2013)。本研究でさらに当院で作成した予測式と先行研究による予測式から得られた予測値と実測値をそれぞれ比較し,予測式の精度を検証することとした。ガイドラインでは,多数の予後予測論文で提示された予測率があまり高くなく,予測精度検討も少ないなどの理由から活用には注意が必要とされている。よって,予後予測式の精度を検証した研究は意義深いと考える。【方法】対象は,2011年9月から2013年8月までに初発の脳梗塞または脳出血と診断され当院回復期病棟に入院した脳卒中患者で,入院時FIMが96点未満で入院期間が1ヶ月以上の95名(男性51,女性44)とした(テント下病変,くも膜下出血,リハビリ中止例は除外)。平均年齢は74.8±11.6歳,発症から入院までの期間は34.9±15.9日,入院期間は88.8±46.9日であった。2011年9月から2012年8月までの54名(男性32,女性22名)は園田(1995)の予測式を使用し予測値1を算出し,実測値1を収集した。2012年9月から2013年8月までの41名(男性20名,女性21名)は当院独自の予測式を使用し予測値2を算出し,実測値2を収集した。園田の予測式は0.222×入院時FIM-m+0.606×入院時FIM認知項目-0.106×入院までの期間-0.292×年齢+2.77×Stroke Impairment assessment Set(SIAS)膝伸展-0.717×SIAS足関節-3.43×SIAS言語-1.29×SIAS上肢関節可動域-1.94×SIAS大腿四頭筋筋力-1.65×SIAS下肢触覚+1.06×SIAS腹筋+82.3である。当院の予測式は54.5+入院時FIM-m×0.539+入院時意欲(Vitality Index;V.I.)×2.674+年齢×(-0.717)+SIAS総得点×0.318である。統計学的処理はそれぞれ予測値と実測値の比較にMann-WhitneyのU検定を用いた。また,サンプルサイズの影響を考慮し,効果量(Effect size;ES)を求めた。有意水準は両側5%未満とした。【倫理的配慮,説明と同意】後方視的研究となるため,個人の情報が特定されないよう倫理的な配慮を行った。【結果】実測値1は47.3±24.0点,予測値1は65.1±9.6点であり,有意な差が認められた(p<0.05,ES;0.36)。一方,実測値2は48.0±24.5点,予測値2は51.5±21.9点であり,有意な差は認められなかった。【考察】本結果から,先行研究の予測式では当院の対象に対し有意な差が認められたが,当院独自の予測式では有意な差が認められなかったことから,当院対象者には当院独自の予測式の方が,予測精度が高いことが示唆された。先行研究の対象者と当院の対象者では属性が異なる点や,先行研究の予測式ではリハビリの効果に影響し得る対象者の意欲について考慮されてない点が予測値と実測値に大きな差が生じている理由と考えられる。脳卒中治療ガイドラインでは予測精度,適用の限界を理解して使用すべきとされているが,本結果からも先行研究の活用には注意が必要と考えられる。より精度の高い予後予測を行うためには,対象者の属性に合わせた独自の予測式を検討し活用していくことが重要であると考える。【理学療法学研究としての意義】正確な目標設定を行っていくためには,精度の高い予後予測を実施していく必要がある。そのためには対象者に合わせた予測方法を検討する必要があり,各病院独自で作成していく必要性を示唆している。
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