癌の研究の目的は, 〈人のからだに巣食った癌細胞に介入して, その人の死期を再び未確定の彼方に追いやり, 死を忘却させる方法を成就すること〉である. また, 同時に〈人は, 最後に“死ぬ”という大切な仕事が残っている〉ことも忘れてはならない.
〈癌は開いた扇のよう〉である. 発癌の3ヶ条は, 1) It's not automatic. 2) It has a process. 3) It takes time. である. 予防・治療の介入が出来る根拠がここにある.
特定の変異を遺伝子型genotypeに持つ表現型phenotypeに処置を加えると, ドラマが演じられる. 病気は, まさに, 〈変えられる, いじれる表現型phenotype〉dramatypeである. この演出型dramatype発現のメカニズムの解明は, 癌の予防・治療法の開発につながる.
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