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クエリ検索: "保田圭"
115件中 1-20の結果を表示しています
  • 畠山 義清, 入澤 寿平
    炭素
    2021年 2021 巻 296 号 50-51
    発行日: 2021/01/15
    公開日: 2021/02/26
    ジャーナル 認証あり
  • 千葉 睦朗
    図学研究
    1977年 11 巻 1 号 41-46
    発行日: 1977年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
  • 園尾萌香, 国分貴徳, 久
    保田圭
    祐, 平田恵介, 金村尚彦
    関東甲信越ブロック理学療法士学会
    2016年 35 巻
    発行日: 2016年
    公開日: 2021/03/12
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    【目的】変形性膝関節症(以下膝OA)は力学的負荷の蓄積が病態に関係するとされる.本研究は膝OA の膝関節が他関節から相互作用をどのように受けて,膝関節筋発揮にどのような傾向を及ぼすか調査した.

    【方法】本研究は白岡整形外科倫理審査委員会に承認を得た.対象は膝OA 患者5 名9 肢(年齢71.0±4.0 歳)でヘルシンキ宣言に基づいて本研究の目的と方法を説明し書面で同意を得た.課題は立ち上がり動作を選択し,三次元動作解析装置(VICON 社製)と床反力計(Kistler 社製)を用いて測定した.解析にはMATLAB_R2015a を用いて3 セグメントモデルのラグランジュ方程式から総トルク(NET),筋トルク(MUS),重力トルク,相互作用トルク(INT),椅子反力からのトルクを算出した.

    【結果】Kellegren-Lawrence 分類の内訳はgradeII:2 名,III:2 名,IV:1 名でレントゲン所見上,膝蓋大腿関節症を有す

    2 症例(以下PF 群,gradeIII2 名)はとくに離殿付近で膝関節MUS の急峻なピークを示し,その際のINT は0 付近を推移した.他の3 名(以下FT 群)においてはINT が NET と類似した波形を示しMUS はPF 群と比較して緩やかに生じていた.

    【考察】PF 群は多関節の相互作用を示すINT を効率的に利用できず,大きな膝関節伸展MUS を要すため膝蓋大腿関節の圧縮応力を増加させる傾向が明らかになったが,FT 群にはそのような傾向が認められなかった. 近年の研究では変形性膝関節症をサブグループに分類することの重要性が説かれている. grade による段階的な差がなかったことから病態により適切なサブグループを選択し解析する必要性が本研究からも示唆された.今後は膝関節だけでなく多関節間ダイナミクスを評価することで今回のようなサブグループ毎に適用した治療を提案できる可能性がある.

  • 久保田 圭祐, 塙 大樹, 国分 貴徳, 平田 恵介, 園尾 萌香, 藤野 努, 金村 尚彦
    関東甲信越ブロック理学療法士学会
    2017年 36 巻
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/04/03
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    【目的】

    ヒトは、機能的に類似した複数筋をグループ化した5 つの筋シナジーを用いて歩行時の筋活動を制御していると考えられている。近年、速い歩行と遅い歩行では筋シナジーが変化するため、根本的な歩行制御が異なる可能性が示された。しかし、これら筋シナジーの変化を理由づける生体力学的役割は不明確である。そこで、今回我々は異なる歩行速度での筋シナジーの変化と生体力学的役割について検証し、歩行速度改善に対する効果的な理学療法を再考する新たな指標を提供することを目的とした。

    【方法】

    対象は健常若齢者6 名。計測機器として表面筋電図計(1000Hz)を用い、体幹・片側下肢筋の計14 筋に電極を貼付、採集した筋活動に非負値行列因子分解を適用し筋シナジーを抽出した。また、床反力計付きトレッドミル(1000Hz)と三次元動作解析装置VICON(100Hz) も同期計測し、逆動力学計算から立脚後期の足関節パワーを算出した。測定課題は快適速度(1.4、1.68m/s) と低速度(0.56、0.84m/s) の4 条件における各2 分間の連続歩行とした。なお,本研究はヘルシンキ宣言に基づいて行い、所属先の倫理委員会の承認を得た。

    【結果】

    各速度条件における筋シナジー数は快適速度歩行では4-5個、低速度では3-4個であった。低速度では遊脚期の筋シナジー数の減少が認められた。また、足関節の底屈パワーは速度が低下するほど小さくなった。

    【結論】

    先行研究から足関節底屈パワーは体幹の前方推進と遊脚下肢の加速に寄与すると考えられている。そのため、歩行速度低下による足関節底屈パワーの低下が遊脚下肢の加速に対する複数筋の共同収縮を生じさせ、筋シナジー数の減少に繋がったと考えられる。本研究結果において、遅い歩行と速い歩行では必要となる関節パワーと筋の協調性が異なるため、歩行速度の改善に対しては、足関節底屈パワーが発揮しやすい身体機能の改善と目標とする歩行速度を考慮した介入が重要である可能性が示された。

  • 園尾 萌香, 国分 貴徳, 久保田 圭祐, 塙 大樹, 平田 恵介, 金村 尚彦
    関東甲信越ブロック理学療法士学会
    2017年 36 巻
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/04/03
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】

    変形性膝関節症( 以下,膝OA) は力学的負荷の蓄積が病態に関係するとされているが,近年外部膝関節屈曲モーメントが初期膝OA に関連していると報告されたことから矢状面についても着目され始めている。本研究では矢状面上の動的要素が強いとされる立ち上がり動作においてトルク解析を行い,高齢者と比較した。

    【方法】

    対象は膝OA 群4 名と健常高齢者3 名の対照群,課題は立ち上がり動作とし, 三次元動作解析装置(VICON 社製)と床反力計(Kistler 社製) を用いて計測した.3 セグメントモデルのラグランジュ方程式から総トルク(NET), 筋トルク(MUS), 重力トルク(GRA), 相互作用トルク(INT), 椅子反力からのトルクを算出した. 相分けはSchenkman の方法を採用しContribution Index(CI)を用いて各相のNET に対する各トルクの寄与率を求め,Mann-Whitney のU 検定を用いて膝OAと高齢者を比較した。なお,本研究はヘルシンキ宣言に基づいて行い、当院の倫理委員会にて承認を得た。

    【結 果】

    第2 相において,膝OA 群は対照群と比較してCI は股関節・足関節INTと股関節・膝関節GRA が有意に低く,膝関節・股関節MUS が有意に高かった。NET 平均値は3 関節すべてにおいて膝OA 群が有意に低値を示した。

    【考察】

    CI はNET に対する各トルクの相対的な寄与度を表すが,膝関節INT のCI に群間差がなかった。先行研究において立ち上がり動作時には他関節の角加速度を反映するINT の役割が重要であることが示されているが,膝OAでは膝関節INT が膝関節N E T の生成に高く貢献しているものの量としては不足し,結果として膝関節M U S の寄与を増加させた立ち上がり動作を行っていると考えられる。本研究結果から膝OA は膝関節の力生成に他関節を利用できていないことが明らかとなり,理学療法において多関節を評価することの重要さを裏付ける知見となり得る。

  • 平田恵介, 国分貴徳, 一寸木洋平, 久
    保田圭
    祐, 宮澤拓, 園尾萌香, 金村尚彦
    関東甲信越ブロック理学療法士学会
    2016年 35 巻
    発行日: 2016年
    公開日: 2021/03/12
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】歩行時のarm swing(腕振り)の対称性を検証した先行研究は上腕の仰角を用いて,非対称性が存在するとしている.しかし,非荷重下で多セグメントからなるシステム特性上,質量分布が挙動に影響すると推測し,本研究では上肢の質量中心点(COM)をパラメータとし,その有用性を検証すると共に,対称性の評価方法も検討した.

    【方法】健常成人11 名を対象に0.9,1.2,1.5,1.8m/s の4 速度条件の定常歩行をトレッドミルで各3 試行行った.三次元動作解析装置(VICON,100Hz)を用い,マーカー座標を記録,各試行16 歩行周期分を解析した.COM は体重と上肢の矢状面座標情報から算出し,データ処理及び仰角の算出は先行研究と同様に行った(2 次Butterworth filer,cutoff5Hz).これらを相互相関係数で波形の類似性を検証し,歩行周期毎のpeak to peak からSymmetrical Index(SI)で対称性を数値化し,平均,SD の積率相関係数で比較を行った.本研究はヘルシンキ宣言に則り計画し,被験者には十分な説明を行った上で書面にて同意を得た.また,埼玉県立大学倫理審査委員会の承認を得ている(承認番号27507).

    【結果】COM と仰角には,全被験者の全試行で左右共に高い相互相関係数(0.97~0.99)を認め,同様にSI の平均

    (0.98),SD(0.96)も高い正の相関を認めた.加えて,SI の平均はCOM で-9.3~6.1±5.6%,仰角で-10.0~6.7±6.7%であった(p<0.05).

    【結論】仰角とCOM は波形の類似性が高く,SI も全試行で高度に一致していたことから,矢状面振幅のパラメータとしては等価と言える.SI の値は先行研究と同等であったが,SD は先行研究に比べ低値を示し,本研究ではより各被験者でばらつきが少なく対称な結果であったと言える.本結果から,肩を原点とした矢状面振幅の比較では非対称性を認めることはできず,他次元要素や体幹の回旋運動等の影響を考慮した解析手法が求められることを示唆している.

  • 小林章, 村木貴洋, 園尾萌香, 久
    保田圭
    佑, 村田健児, 国分貴徳, 金村尚彦
    関東甲信越ブロック理学療法士学会
    2016年 35 巻
    発行日: 2016年
    公開日: 2021/03/12
    会議録・要旨集 フリー

    【はじめに】リバース型人工肩関節置換術(以下、RSA)は徐々に増加している。今回術後早期に自宅復帰後、訪問リハビリテーションにて介入し、術前後の3 次元動作解析を行う機会得たので報告する。

    【目的】RSA 術後のリハビリ介入によって生じた上肢の運動円滑性をNormlized Jerk(以下、NJ)により評価する【方法】動作課題:上肢前方リーチ動作を術前後、および右側上肢で実施使用機器:3 次元動作解析装置VICONNJ:FIN マーカー座標の3 階微分によりJerk を算出し、先行研究を参考に算出した。(平成28 年2 月14 日及び3 月30 日に計測)【症例紹介】・基本情報:60 歳代女性、専業主婦。主訴は左肩を動かすと痛い。・既往歴:リウマチ、右肩人工肩関節・診断:左肩亜脱臼、左肩腱板完全断裂・現病歴:平成27 年、A 病院にて人工骨頭挿入術後、8 月自宅退院、訪問リハビリテーション介入開始。平成28 年2 月上旬肩の痛みを訴え、平成28 年2 月18 日RSA 施行。平成

    28 年3 月1 日より訪問リハビリテーション再開。

    【理学療法評価】・ROM:[術前] 挙上(100°/175°)、[術後]挙上(140°/175°)・NJ(y 軸/z 軸方向):[術前] 左

    (98.5±11.2/125.8±37.1)、右(94.6±38.7/97.7±48.1)、[術後] 左(77.9±8.4/69.0±18.7)【考察】上肢運動のキネマティクス的理解は術後のリハビリに重要である。術後のNJ は低値を示し、特にz 軸方向への円滑性が改善した。これはRSA の力学的特性を反映していると考えられる。三角筋中部繊維のレバーアームは90°付近で最大になるとされ、同じ筋出力でもより大きなトルクが発生するためz 軸方向のNJ の低下につながったと考えられる。今後、上肢運動の円滑性を長期的な調査を行い、どのようなリハビリ介入が長期的な上肢機能の温存に有効なのかを明らかにする必要がある。

    【倫理に関する項目】症例には本研究の目的を説明したうえでご本人の同意を得ております。

  • 保田圭
    祐, 塙大樹, 国分貴徳, 平田恵介, 小林章, 金村尚彦
    関東甲信越ブロック理学療法士学会
    2016年 35 巻
    発行日: 2016年
    公開日: 2021/03/12
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】ヒトの歩行の制御戦略の単純化として、作用の類似した筋群がグループ化され、歩行に応じてそれらが協調的に働くという筋シナジー仮説が存在する。これまで、歩行の筋シナジー解析の多くは片側下肢にて検討されてきたが、片側性の関節疾患患者では筋シナジーが左右で異なる可能性がある。そこで、今回我々は試験的に健常者において両下肢から筋シナジーを抽出し、その類似性を検討することを目的とした。

    【方法】対象は健常男性1名(21 歳)とした。床反力計付きトレッドミル(BERTEC 社、1000Hz)、筋電図18ch(Delsys 社・NORAXON 社、1000Hz)を用いて床反力、筋活動を測定した。対象筋は、両側の大腿直筋、内側広筋、股関節内転筋群、大殿筋、中殿筋、半腱様筋、前脛骨筋、腓腹筋内側頭、ヒラメ筋の計18 筋とした。被験者はトレッドミル

    (2、3、5km/h)で2 分間の歩行を行った。各歩行周期で時間正規化し、加算平均波形を作成した。筋シナジーの抽出には非負値行列因子分解を用いた。両下肢の類似性の検討には相関係数を用いた。

    【説明と同意】研究への協力に際し、書面にて説明し同意を得た。

    【結果】両下肢ともに4 個の筋シナジーが抽出された。相関係数は荷重応答期(LR)と立脚後期(TSt)に活動するシナジーが平均0.85 と高い相関、遊脚後期(TSw)に活動するシナジーが平均0.50 で中等度の相関を示した。遊脚前期

    (ISw)に活動するシナジーは平均0.30 と低い相関を示した。

    【結論】本結果から、同一被験者においてLR とTSt、TSw に活動するシナジーは両下肢で類似する可能性が示された。これらのシナジーは荷重下の生体力学的な機能に関連するため、左右でも高い類似性を示したと考えられる。

    一方でISw に活動するシナジーは両下肢でも変動を有していたため、前額面上での何らかのキネマティクスの左右差が影響している可能性が示唆された。今後は健常者にてさらに検討を進めつつ、疾患応用へとつなげていきたいと考える。

  • 平田 恵介, 国分 貴徳, 宮澤 拓, 久保田 圭祐, 園尾 萌香, 塙 大樹, 藤野 努, 金村 尚彦
    関東甲信越ブロック理学療法士学会
    2017年 36 巻
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/04/03
    会議録・要旨集 フリー

    【序文】

    近年, 速度を左右非対称化したトレッドミル(Split belt) 上の歩行適応を見ることで, 歩行の運動学習が調査されてきた. 非対称歩行適応時には両脚支持時間とステップ長が左右対称化することが知られている. 本研究の目的は, 非対称歩行時の身体推進に関わる特異的な反応を特定し, 理学療法ツールとしての理論確立を行うことである.

    【方法】

    健常人10 名に, 床反力付ダブルベルトトレッドミル(Bertec,1000Hz) にて0.9m/s の対称歩行30 秒, 続いて片側のみが

    1.8m/s に変化し, 非対称歩行を3 分間行った. 計測は三次元動作解析装置VICON(100Hz) を用い,下肢伸展角(LA), 床反力推進成分(GRFy), 上半身重心前方変位量(UCOM) のピーク値, 及びピークに達する立脚期のタイミングを左右で抽出し,ベルト速側と遅側の左右比と相互相関係数で比較した. 各結果を従属変数,フェーズ( 対称歩行, 非対称化直後, 終了直前) を独立変数とし, 一要因の反復測定分散分析, 多重比較検定(Bonferroni 法による補正, p <.05) を行った. 本研究はヘルシンキ宣言に則り, 所属施設倫理審査委員会の承認を得た( 承認番号27507).

    【結果】

    非対称歩行時, ステップ長は対称化し, 両脚支持時間は非対称性が有意に減少した.LA,GRFy,UCOM 前方速度のピークは非対称歩行で速側が有意に高値を示した(p <.05). 非対称歩行時のピークタイミングはLAでは遅側に比べ速側が立脚期終盤に移行したのに対し,GRFy とUCOM 前方速度は逆に速側で早期に移行していた. 左右立脚期でのUCOM 前後変位の相関係数は対称歩行で0.52, 非対称歩行で-0.49と位相が変化した.

    【結論】

    非対称歩行時には速側下肢の伸展範囲と蹴り出しが増大していた. さらに蹴り出しと身体の前方移動が遅側よりも早期に行われているにも関わらず, 立脚期終盤まで伸展していた現象は, 両脚支持時間を対称化するための非対称歩行時特有の戦略であったと推察される.これらは蹴り出し不全の改善を目的としたsplit belt の治療効果の一端となる.

  • 塙 大樹, 久保田 圭祐, 国分 貴徳, 平田 恵介, 宮澤 拓, 園尾 萌香, 藤野 努, 金村 尚彦
    関東甲信越ブロック理学療法士学会
    2017年 36 巻
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/04/03
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    【目的】

    様々な神経生理学的研究により,ヒトは複雑な筋活動を集約した筋シナジーを機能単位としていることが立証されている.介在神経や運動神経への経路編成により筋シナジーの異常を招く典型的な疾患が脳卒中である.しかし,脳卒中患者の起立動作における異常筋シナジーは明らかにされていない.今回、急性期運動療法や効果測定に向けた基礎データを提供することを目的に検証を行った.

    【方法】

    対象は脳卒中左片麻痺患者3 名(発症後期間 = 6.3 ± 2.3 日),健常成人2 名とした.被験者は起立動作を行った.表面筋電図計を用い左下肢7 筋の筋活動を採集,筋シナジー解析として確立されている非負値行列因子分解を適用した.これらの筋シナジーを分類する目的で階層的クラスタ解析を行った.本研究はヘルシンキ宣言に基づいて行い,所属機関倫理委員会の承認を得た。

    【結果】

    健常成人2 名は4 つの筋シナジーを有した.脳卒中患者のうち2 名は,大殿筋(GM)活動消失により3 つに筋シナジーが減少した.両者とも伸展相において大腿二頭筋(BFL)活動比が高く,この筋シナジーが健常成人と異なるクラスタを形成した.脳卒中患者のうち1 名は4 つの筋シナジーを有したが,伸展相においてGM を除く全筋を共活動させたため健常成人と異なるクラスタを形成した.その他の筋シナジーは,全被験者で同一クラスタを形成した(クラスタ内相関係数 = 0.93 ± 0.01).

    【考察】

    脳卒中患者は運動制御の複雑性が低下し,筋シナジー数が減少する(Bowden MG, 2010).この知見は起立動作においても共通していた.また,脳卒中患者におけるGM 活動消失は,身体重心を前方へ移しBFL 活動や共活動を下肢伸展力とする代償を招いた可能性がある.このような活動適応は急性期から起こることが示唆された.本研究結果をもとに,異常筋シナジーと動作パターンの関連性を検証することで,動作評価から異常筋シナジーの予測が可能になると考えられる.

  • 喜多 俊介, 小栢 進也, 小林 章, 久保田 圭祐, 園尾 萌香, 国分 貴徳, 金村 尚彦
    関東甲信越ブロック理学療法士学会
    2017年 36 巻
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/04/03
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    【はじめに】

    変形性膝関節症( 膝OA) は関節軟骨の慢性退行性疾患である. 膝OA の発症及び進行要因として異常な膝関節圧迫力の増大が挙げられ, この圧迫力は筋張力が大きく寄与している事が示されている. 筋張力は直接計測が困難であり, 筋骨格シミュレーション解析を用いる事で推定が可能となる. 一方膝OA 者を対象にしたシミュレーション研究は少なく, その妥当性は十分に検証されていないのが現状である. 本研究の目的は筋骨格シミュレーション解析を用いた膝OA 者の筋活性度を表面筋電図(EMG) と比較することでその妥当性を検討する事とする.

    【方法】

    対象は健常成人3 名, 膝OA 者3 名とした。課題は0.56m/s でトレッドミル上を歩行とした.EMG 電極は体幹と下肢の計16

    筋に貼付した.シミュレーション解析にはOpenSim3.3の23自由度・92筋駆動モデルを使用した.筋活性度の推定は筋興奮度の二乗和が最小となるよう最適化を行った. 各筋の推定値および計測値は歩行中の最大値を100%として正規化した. 本研究はヘルシンキ宣言に則り実施し, 埼玉県立大学倫理審査委員会の承認を得た( 承認番号:28507)

    【結果】

    本研究においてシミュレーションの筋活性度とEMG の計測値との差の絶対値の平均は健常群で7.58%, 膝OA 群で7.18% であった. 膝OA 者の活性度と計測値の活動量の差は健常成人の差と比較して同程度であった. 一方各被験者で推定値と比較し計測値で高い値を示す筋があった. 差が見られる筋及び時期については個体差があり, 膝OA と健常成人での傾向性は認められなかった.

    【結論】

    膝OA 者の推定値は健常成人と比較して計測値との差が同程度であり, 膝OA 者のシミュレーション解析は妥当であると言

    える. 一方, モデルで低値を示した筋は, モデルにおいて最適化の過程で同時収縮を考慮していないことが原因として考えられる. 今後coactivation index などの指標を導入することで, 今回の差が同時収縮によるものであったのか検討する必要がある.

  • *阪上 弘彬, 川端 光昭
    日本地理学会発表要旨集
    2018年 2018a 巻 P124
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/01
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    1. はじめに
     本発表は持続可能なトライアングルモデルを用いて,地理的諸問題の背景や利害関係の考察,解決策の提案を目指す地理学習の実践を報告するものである.ストレンジ・ベイリー(2011: 26)は持続可能な開発(SD)に向けて,ブルントラントの定義を言い換える形で,「私たちが決断を下す際には,社会,環境,経済への潜在的影響を配慮しつつ,私たちの行動が他の場所に影響を及ぼすこと,そして私たちの行動が将来にも影響を及ぼすことを意識しておかなければならない」という見解を示した.これは私たちがまわりの社会にかかわる際に,①経済成長だけでは十分ではないという認識,②持続可能な開発はその相関的,あるいは相互依存的な性質により,その境界を越えて戦略を調整し,正しい意思決定を行う必要があるということ,③人間の行動を考える際には時間的な変化を考慮しなければならないこと,(ストレンジ・ベイリー,2011: 27-28)という考えが必要であることを示している.本実践ではこれを踏まえ,学習者が地理的諸問題をSD/持続可能性の視点から判断し,解決に向けた意志決定ができるように,環境・経済・社会の3観点から事象の関係を把握できる以下の図(資料:阪上ほか 2018: 16 から引用)を学習過程で用いた.

    2. 授業実践の概要
     本実践は,岐阜高専において平成30年1月下旬から2月上旬にかけて実践(2時間:1時間90分)した.学習過程では,(段階)の異なる5つの学習課題(1既習事項の再確認,2似た現象・概念の比較,3地域の現状把握,4多様な意見の分布とその背景,5多様な利害関係・影響に基づく判断や代替案の作成)を設定し,学生が主体となり,学習が進められることを意識した.

    3. 授業成果と課題
     学習過程では多くの学生が,SDの3観点から総合的に問題の構造や利害関係を検討・把握し,解決策を提案できた一方で,特定の観点から利害関係を把握したり,解決策を提案したりする学生もいた.今後はモデル活用時における教員の働きかけ(補助的な問い等)や活用場面にも着目し,モデルの活用方法を提案していくことが課題である.

    文献
    阪上弘彬・空 健太・久
    保田圭
    司 2018. 学校教育におけるESD実践にむけた考察-環境・経済・社会のバランスに着目して.岐阜工業高等専門学校紀要 (53): 13-18.
    ストレンジ,T.・ベイリー,A.著,OECD 編,濱田久美子訳 2011. 『よくわかる持続可能な開発─経済,社会,環境をリンクする』明石書店.

    本研究はJSPS科研費JP14038の成果の一部である.
  • 久保田 圭祐, 大久保 優貴, 李 陽秀, 金子 縁, 辻 俊明
    生体医工学
    2021年 59 巻 1 号 1-6
    発行日: 2021/03/10
    公開日: 2021/04/03
    ジャーナル フリー

    Upper limb motor function of patients with post-stroke hemiplegia is important for their independence in carrying out activities of daily living. Recently, research and development of upper limb rehabilitation robots to support reach training has been progressing. This robot training has been shown to be effective in improving motor function of the upper limb. However, because many of the robots are expensive and cumbersome, the venues in which such robots could be used were limited to hospitals and nursing care centers. We have developed a reaching device that is highly portable and easy to use at home. The main purpose of this study was to determine the effects of training with the reaching device in patients with chronic stroke hemiplegia. Nine subjects with hemiplegia participated in reach training two days per week for five weeks using the reaching device. We evaluated the results using Fugl-Meyer Assessment (FMA) and co-contraction between biceps brachii and triceps brachii muscles using the Co-Contraction Index (CCI). The results of FMA showed a significant increase in score after reaching training. On the other hand, no significant difference between pre-and post-training CCI scores was observed. The results showed that reach training was effective in improving comprehensive upper limb motor function. However, further investigation is needed to examine this in greater detail. In the future, it is necessary to identify subjects who respond to the training. The development of this reaching device has the potential to provide autonomous and effective home-based rehabilitation for patients with post-stroke hemiplegia.

  • 藤野 努, 国分 貴徳, 金村 尚彦, 久保田 圭祐, 園尾 萌香, 村田 健児, 喜多 俊介, 高柳 清美
    理学療法学Supplement
    2017年 2016 巻 P-KS-25-2
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/04/24
    会議録・要旨集 フリー

    【はじめに,目的】

    脊柱の後弯変形や妊娠により体幹の質量中心位置は矢状面上で変化する。この矢状面上の身体的変化は,歩行に大きな影響を及ぼす可能性がある。先行研究では,歩行における矢状面上の体節運動が体幹の前額面上の加速度に寄与すること(Nott, et al., 2010)や,矢状面と比較して前額面での制御が必要であること(Kuo, et al., 2000)が示されている。これらのことから,体幹の矢状面上の質量中心位置の変位も歩行における前額面のダイナミクスに影響する可能性があるが,その具体的影響は明らかでない。そこで,本研究は体幹の矢状面上の質量中心位置を負荷によって擬似的に変化させ,質量中心位置の違いが前額面の歩行ダイナミクスに与える影響を明らかにすることを目的に行った。

    【方法】

    対象は健常男性6名(身長169.3±3.7cm,体重61.3±5.2kg)。課題は快適歩行速度での2分間連続歩行とし,1分間経過後の50ストライドを対象とした。体幹負荷は専用のベストを用い,体重の10%を負荷量とした。負荷条件は①通常歩行,②負荷なし(ベストのみ装着),③前方,④正中,⑤後方の5条件とし,ランダム化した順序で実施した。

    計測には三次元動作解析装置(VICON社製)と床反力計付きトレッドミル(BERTEC社製)を用い,モデルにはPlug in Gait fullbody AI modelを使用した。

    算出した変数は歩隔と1歩行周期中の矢状面,前額面上の体幹,骨盤の体節角度と角速度の振幅,身体重心(COM)の前額面上の位置と速度の振幅に加え,前額面上の動的な安定性を評価するために,速度で外挿したCOM位置(extrapolated COM,XCOM)の振幅とXCOMと支持基底面の距離で示されるMargin of stability(MOS)の平均値と最小値を用いた。

    統計解析はK-S検定による正規性検定後に,フリードマン検定を実施し,事後検定としてウィルコクソン符号付順位検定とHolm法を用いた。有意水準は5%未満とした。データ処理・統計解析にはMATLAB R2016a(MathWorks社製)を用いた。

    【結果】

    COM位置,矢状面上の体幹角度は各条件において有意な差を認めなかった。歩行の動的な安定性を示すMOSの平均値,最小値ともに後方条件が正中と比較して有意に低値を示した(平均値[後方:67.9mm,正中:64.0mm];p<0.01,最小値[後方:28.5mm,正中:21.6mm];p<0.05)。歩隔は後方が前方,負荷なしと比較して有意に高値を示し(後方:171.7mm,前方:160.5mm,負荷なし:154.3mm;p<0.05),他の条件に対しても高値を示す傾向にあった(正中:154.3mm,通常:151.5mm)。

    【結論】

    体幹質量中心位置の変位は,歩行中の前額面上のCOM位置や矢状面上の体幹角度には影響しないことが明らかとなった。一方で,動的な安定性を示すMOSと歩隔は後方条件で高値を示した。MOSは歩隔に依存する値であるため,体幹の質量中心の後方化に伴い,歩隔を拡大することで通常より大きな安定性を担保する戦略を有することが示唆された。本研究によって歩隔が拡大した歩容の改善には前額面上だけでなく矢状面上の身体変化に着目する必要性が示された。

  • 久保田 圭祐, 塙 大樹, 国分 貴徳, 園尾 萌香, 平田 恵介, 金村 尚彦
    理学療法学Supplement
    2017年 2016 巻 P-KS-24-5
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/04/24
    会議録・要旨集 フリー

    【はじめに,目的】

    運動制御における冗長性問題の解決策として,筋シナジーが存在する。筋シナジーとは,活動タイミングが類似する筋活動をグループ化し,中枢神経系の制御を単純にしているという仮説である。その中で,ヒトの歩行は4つから5つの筋シナジーで達成されると報告された。本来,筋シナジーは中枢神経系の制御を解明するために発展したため,運動器疾患に対する応用は進んでいない。変形性膝関節症(以下,膝OA)は,異常筋活動を示すため,正常歩行とは異なる筋シナジーが抽出される可能性がある。そこで本研究の目的は,膝OAに特徴的な筋シナジーを抽出し,膝OA歩行の評価・治療に対する指標とすることである。

    【方法】

    対象は健常成人3名と疼痛のない膝OA患者3名とした。床反力計付きトレッドミル(BERTEC社),筋電計12ch(Delsys社)を用いて床反力,筋活動を測定した。対象筋は,片側の脊柱起立筋,大殿筋,中殿筋,大腿筋膜張筋,股関節内転筋群,大腿直筋,内側広筋,半腱様筋,大腿二頭筋,前脛骨筋,腓腹筋内側頭,ヒラメ筋の計12筋とした。被験者はトレッドミル(3km/h)で30秒の歩行を行い,筋活動データの10歩行周期分の加算平均波形を作成した。筋シナジーの抽出には非負値行列因子分解を用いた。健常成人と膝OA間の類似性の検討には,シナジー波形は相互相関分析,筋間活動比はピアソンの積率相関係数を用いた。

    【結果】

    膝OA患者3名のうち2名は明瞭な筋活動を示した筋が8筋で,抽出されたシナジー数が2つであった。残りの1名(grade2)は健常者と同様に3つのシナジー(シナジー1,2,3)が抽出されたため,各シナジーの類似性の検討を行った。各シナジーの活動は,シナジー1が荷重応答期,シナジー2が立脚後期,シナジー3が遊脚期に生じた。シナジー波形は,全被験者で高い相関を示し,シナジー1が0.97,シナジー2が0.93,シナジー3が0.95であった。健常成人と膝OA患者間の筋間活動比は,シナジー1が0.55,シナジー3が0.73と中等度の相関を示したのに対して,シナジー2が0.29と低い相関を示した。

    【結論】

    先行研究にて,歩行時の筋シナジーは不変であることが明らかとなっている。今回計測した膝OA患者においても,シナジー波形は健常者と類似したが,筋間活動比はシナジー2で差異が認められた。これは,本来シナジー2は腓腹筋とヒラメ筋をグループ化し下肢の蹴り出し時に活動するが,膝OA患者ではヒラメ筋のみ高い活動を示したためであると考えられる。腓腹筋は,前脛骨筋と共に荷重応答期に活動するシナジー1に共同収縮としてグループ化された。このことから,膝OAでは共同収縮の影響により健常成人と異なる非効率的な筋シナジーを呈することが示唆された。今後他の力学データとの対応関係について検証することで,膝OAの評価・治療に客観性の高い新たな指標として筋シナジーを使用できる可能性がある。

  • 平田 恵介, 国分 貴徳, 一寸木 洋平, 藤尾 公哉, 久保田 圭祐, 園尾 萌香, 金村 尚彦
    理学療法学Supplement
    2016年 2015 巻 P-KS-38-5
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/28
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに,目的】歩行時のarm swing(腕振り)がバランスや推進力の面で不可欠であることをヒトは経験的に知っているが,歩行制御への本質的な貢献は未だ明らかにされていない。先行研究では,体幹回旋への寄与をarm swing抑制条件との比較を行った報告から,体幹回旋運動の減少や加速度への寄与が述べられているが,そのメカニズムは未解明である。一方で,臨床上動作分析等において,arm swingの非対称性は非常に着目しやすいため,無意識的に行われるarm swingと,身体他体節との関係性が解明されれば,理学療法介入を行う上で非常に有用な情報となり得る。本研究ではarm swingと体幹回旋の左右非対称性に着目をし,左右のarm swing amplitudeと体幹の左右回旋の関連性を調査することで,arm swingの制御機能を明らかにすることを目的とした。【方法】健常成人男性13名を対象に,床反力付きトレッドミル(BERTEC社)にて0.9m/sの速度条件で通常歩行を3試行行った。データ計測は三次元動作解析装置(カメラ17台,VICON社,200Hz)で剛体リンクモデルPlug in gait full body AI modelを用い,39個の反射マーカーの三次元座標を記録した。計測はトレッドミル歩行が定常状態になってから20秒間記録し,うち各試行16歩行周期を解析した。データから体幹回旋角度と,体重及び上肢マーカー情報により算出した上肢質量中心点(以下COM)のy座標情報を用いてarm swingの前後振幅を得た。左右COMの矢状面上の交点から前後方向のピークまでの距離の累積和を左右それぞれで算出し,arm swing amplitudeの変数とした。対称性の尺度としてSymmetrical Index(SI)を用い,体幹の左右平均回旋角度と左右arm swing amplitudeそれぞれのSIの相関係数を算出した。【結果】arm swing amplitudeと体幹回旋は全被験者で非対称性を認めた。また,13名中10名が全試行を通じて,arm swingと体幹回旋の左右非対称性が同じ傾向を示した。しかし,体幹の左右回旋とarm swingの左右振幅の対称性には有意な相関を認めなかった(相関係数0.2277)。【結論】Arm swingは健常人の定常歩行であっても前後振幅に左右差があることが先行研究により明らかになっている。肩によって体幹と連結する上肢のswingは体幹回旋運動に影響することが予想され,今回両者の非対称性を持ってその影響を示すことを試みたが,直接の関連性を認めなかった。ただ左右の非対称性が被験者内で一貫していたことから,今回用いた変数以外の因子がarm swingと関与している可能性が考えられる。本研究を踏まえ,さらに歩行におけるarm swingの制御機構が解明されることで,歩行障害に対する理学療法介入の一助となると考える。
  • 久保田 圭祐, 園尾 萌香, 塙 大樹, 国分 貴徳, 平田 恵介, 金村 尚彦
    理学療法学Supplement
    2016年 2015 巻 P-KS-11-3
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/28
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに,目的】歩行を含むあらゆるタスクにおいて,タスク達成に関与する筋の組み合わせは無数に存在する。それらの筋活動の組み合わせを単純化する機構として,作用の類似した筋群をグループ化した筋モジュールが協調的に働く筋シナジーという考え方が注目されている。近年の研究において,健常者の歩行に関する筋シナジーパターンは4つから5つ存在すると報告した。今回我々は,本研究にて抽出された筋シナジーについて,歩行速度の変化に伴った特徴的な因子について分析を行い,歩行に対する理学療法介入の一助とすることを目的とした。【方法】対象は健常男性5名(23±1歳)とした。床反力計付きスプリットトレッドミル(BERTEC社,1000Hz),筋電図(Delsys社,1000Hz)を用いて床反力,表面筋電図波形を測定した。対象筋は両側の脊柱起立筋,左側の大腿直筋,内側広筋,外側広筋,大腿筋膜張筋,股関節内転筋群,大殿筋,中殿筋,半腱様筋,大腿二頭筋,前脛骨筋,腓腹筋内側頭,腓腹筋外側頭,ヒラメ筋とした。被験者は安静立位からトレッドミル(0.5,1,2,3,5km/h)の開始とともに約10周期の歩行を行い,4~9周期目までのデータを使用した。歩行周期は,左下肢の1回目の踵接地から2回目の踵接地までの時間を床反力のZ方向成分を用いて定義した。表面筋電図波形は,各歩行周期で時間正規化と加算平均を行い,非負値行列因数分解を用いて筋シナジーを抽出した。各シナジーの活動のピークポイントを算出し,各速度間にてピアソンの積率相関係数を求めた。また今回は,全被験者に共通した特徴が認められた下腿後面筋群のシナジーに関して詳細に分析を行うこととし,同シナジーの最大値と,最大値+20%の範囲での積分値を算出した。解析及び統計にはMatlab2015bを用いた。【結果】5名の被験者の歩行から4つから5つの筋シナジーが抽出された。各速度間の相関係数の平均は,被験者1で0.98,被験者2で0.93,被験者3で0.98,被験者4で0.97,被験者5で0.99といずれも高い相関を認めた。下腿後面筋群の関与するシナジーの各速度間での積分値の平均は,0.5km/hで20.49,1km/hで17.43,2km/hで18.05,3km/hで15.51,5km/hで14.72であった。【結論】今回の結果から,速度の変化,遊脚期への移行のタイミングに関わらず各シナジーの活動ピークは不変であることが示された。しかし,歩行速度が低下するほど各シナジーの波形が遷延化し,特に下腿後面筋群の関与するシナジーの活動の長期化が認められた。このことから,低速歩行では立脚中期以降に下腿後面筋群の筋活動を遷延化させる何らかのキネマティクスが存在することが示唆され,低速歩行を呈する患者に対するこれらの筋活動の持続時間の短縮は,キネマティクスの改善の一つの指標となり得る可能性が示された。今後は,各シナジーとキネマティクスデータとの関連性についてより詳細な解析を進めていきたい。
  • 横井 昭彦
    計測と制御
    2019年 58 巻 12 号 963
    発行日: 2019/12/10
    公開日: 2019/12/18
    ジャーナル フリー
  • 園尾 萌香, 久保田 圭祐, 山崎 弘嗣, 国分 貴徳, 金村 尚彦
    理学療法学Supplement
    2017年 2016 巻 P-KS-36-3
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/04/24
    会議録・要旨集 フリー

    【はじめに,目的】

    日常生活で頻回に繰り返される立ち上がり(STS)動作は体幹の前傾の不足に伴って筋の負荷が増大し非効率的な動作となっていることが報告されており,身体質量に占める割合の大きい体幹のふるまいが重要な役割を担っていることが示唆されている。多関節運動においては筋トルクや重力トルク以外に相互作用トルクと呼ばれるセグメント間の相互作用の影響が加わる。相互作用トルクは速度依存トルクと慣性力によって構成されるため質量の大きい体幹セグメントのふるまいは動的効率性に強く影響すると考えられるため,本研究ではとくに隣接したセグメントの影響を受けやすい中間関節である膝関節に対して立ち上がり動作時の体幹のふるまいがどのように貢献するかを明らかにすることとした。

    【方法】

    健常若年者3名(年齢23±1.7歳,身長173.0±6.0cm,体重64.0±7.2kg)を対象とし,課題動作は椅子座位からの立ち上がりとした。体幹条件は普通(N),前傾(TM),垂直(TV)を各3試行した。計測には三次元動作解析装置(VICON社製,100 Hz)で39個の赤外線反射マーカー(Plug in Gait Full Body Aiモデル)の三次元座標を記録し関節角度を,床反力計(Kistler社製,1000Hz)から垂直・前後方向の床反力を算出した。股関節角加速度から動作の開始・終了地点を規定し時間正規化を行った。トルク解析はHAT,大腿,下腿の3セグメントリンクモデルを用いて,MATLABを使用し,ラグランジュの運動方程式を用いて総トルク(NET),筋トルク(MUS),重力トルク(GRA),INTを算出した。解析項目は各条件における運動時間,下肢各関節(股関節,膝関節,足関節)の最大屈曲(背屈)角度,各トルク成分(NET,MUS,GRA,INT)最大・最小値,NETに対するINT寄与率とし,条件間で比較した。

    【結果】

    動作時間(TV<N<TM),体幹前傾角度(N:106±8.3度 TM:133±7.2度 TV 90±10.4度)は条件間で有意差を認めたが条件内では有意差を認めなかった(有意水準P<0.01)。条件間の各トルク成分は類似した波形を示した。3例中2例はTM・N・TVの順に膝関節INTの寄与率が高い傾向を認め,1例に限ってはTM・TV・Nの順にINTの寄与率が高く,INTの寄与率は全体として低い傾向にあった。2例と比較した運動学的な特徴として下肢関節の角速度・角加速度のピーク波形が1峰にならずピーク付近で緩やかな2峰の波となっていた。

    【結論】

    本研究の結果から,STSにおける膝関節INTは体幹前傾に伴って膝関節NETの生成に貢献する傾向があることが明らかになった。このことは立ち上がり動作時の膝関節における筋活動の増加を防ぎ,動的効率性を高めることに体幹の前傾運動が重要な役割を占めていることを示唆している。今後,メカニカルストレスが背景にある変形性膝関節症に対して立ち上がり動作における相互作用トルクの解析を進めることで変形性膝関節症の力学的特性を明らかにできる可能性がある。

  • Split-belt treadmillの理学療法応用
    平田 恵介, 国分 貴徳, 宮澤 拓, 一寸木 洋平, 園尾 萌香, 久保田 圭祐, 金村 尚彦
    理学療法学Supplement
    2017年 2016 巻 P-KS-25-4
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/04/24
    会議録・要旨集 フリー

    【はじめに,目的】

    下肢は歩行時に左右交互に駆動するため逆位相関係にある。これが左右のベルトが異なる速度のトレッドミル歩行(Split-belt)では,肢体運動のキネマティクスに左右差を生じるものの,そうした非対称歩行に適応し,逆位相が定常歩行よりも高まることが先行研究により明らかになっている。しかし大腿仰角や足部マーカー座標といった単セグメントの動きに影響され易いパラメータを用いている上,具体的に左右差を生じる運動学データに関して言及されていない。そこで本研究では,肢体の総合的な位置を反映する質量中心(COM)をパラメータとして用い,非対称歩行適応時に変化する下肢の前後振幅と逆位相性をSplit-beltで検証した。本研究目的は変形性関節症や慢性期片麻痺の様に,歩行時に肢体のキネマティクスに左右差を呈する患者に対するSplit-belt treadmillによる治療指針確立の基礎データを得ることである。

    【方法】

    対象は健常成人10名。Split-belt実験はダブルベルトトレッドミル(Bertec)を用い,0.9m/sの対称歩行1分,続いて一時的に片側が1.8m/sの非対称歩行3分,その後再び対称歩行2分の計6分間行った(左右2条件×各3試行)。計測は三次元動作解析装置(赤外線カメラ17台,VICON,100Hz)で剛体リンクモデルPlug In Gait Full Body AI Modelを用い,反射マーカーの三次元座標を記録し,体重比からCOMを算出した。データは①対称歩行,②非対称化直後,③非対称歩行適応後,④再対称化直後,⑤終了前の全5相,各相5歩分を採用した。解析は下肢COMの振幅・踵接地時の位置・最後方値,片脚支持時間,両脚支持時間の左右差を抽出し,被験者ごとに対応のあるt検定を行った。また下肢COM,大腿仰角,踝マーカーの振幅を取得し,左右間での相互相関係数を求め,COMでの結果との有意差を検証した(有意水準0.01)。

    【結果】

    COM振幅,最後方値は遅側に比べ速側が大きく,片脚支持時間は遅側に比べ速側が短くなる左右差を示し,③非対称歩行と①対称歩行で有意差を認めた。踵接地時の位置と両脚支持時間に左右差,有意差はなかった。また,③非対称歩行適応後において,下肢COMの変動は左右間で-0.97~-0.99と高い負の相関を示し,逆位相性が亢進していた。これは同様の条件で大腿仰角,踝マーカーで逆位相が高まると述べた先行研究結果と比較しても,高い相関係数であった。

    【結論】

    上記結果から非対称歩行時でも下肢COMの踵接地時位置と,両脚支持時間を左右対称にしており,これには速側下肢の蹴り出し延長が関与していた。また下肢逆位相性の左右比較において,下肢COMデータで高い相関係数が示されたことは,蹴り出し延長の対応に高次な力学的対応が行われている可能性が示唆された。これらの事実は,不可変なキネマティクスや蹴り出し不全を呈する歩行の改善を目的とした患者の歩行機能改善に対し,Split-belt treadmillによる非対称性歩行適応の論理的背景確立に貢献するものである。

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