要 旨
緒言:九州大学では喫煙対策の一環として禁煙支援プログラムを2010年から展開している。1年禁煙率まで確認できた事
例が集積したので、若干の考察を加えて報告する。
対象と方法:対象は、禁煙を希望する学生及び教職員で、2010〜2011年度に本プログラムに参加した者とし、以下の二つ
の解析を実施した。
1.プログラム終了時および1年後の禁煙状況を、禁煙、再喫煙、不明に
分類した。さらに、不明を除外して再喫煙を禁煙失敗とし、禁煙の成否
を学生・教職員間で比較した。
2.12週間禁煙した者(禁煙群)を、一時喫煙群と非喫煙群の2群に分
類し、1年後の禁煙継続状況を比較した。
結果:
1.プログラム終了時および1年後の禁煙状況
学生の禁煙率は、プログラム終了時43.1%、1年後24.1%で、教職
員の禁煙率は、プログラム終了時76.0%、1年後52.0%であった。ま
た、学生は状況が確認できない不明の者が多かった。さらに、不
明を除外して禁煙の成否を学生・教職員間で比較したところ、教職
員に比べ学生の方がプログラム終了時、1年後いずれも禁煙率が
低く、再喫煙率が高かった。
2.一時喫煙の有無と1年後の禁煙状況
1年後の禁煙状況は、不明を除外すると、学生は非喫煙群の76.5%
が禁煙を継続し、一時喫煙群では80.0%が再喫煙で禁煙継続は
20.0%であった。教職員は非喫煙群の88.0%が禁煙を継続し、一時
喫煙群では55.6%が再喫煙で禁煙継続は44.4%だった。学生、教
職員いずれも一時喫煙群は非喫煙群に比べて1年禁煙率が低く、
再喫煙率が高かった。
考察:学生は教職員に比べて禁煙率が低かった。学生は種々の要因で禁煙へのモチベーションを保ちにくいことが原因と
考えられる。一時喫煙群は非喫煙群に比べて、1年後の禁煙率が低く、再喫煙率が高かった。このことから、プログラム
期間の一時喫煙が、1年後の禁煙継続の阻害因子であることが示唆された。
結語:禁煙率は、学生に比べて教職員の方が高かった。また、禁煙を継続させるにはプログラム中の一時喫煙の防止が重
要であることが示唆された。事例を集積し、さらなる禁煙率の改善を目指したい。
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