政治過程でいわゆる「
公共政策
」が供給されるにいたるプロセスの簡単な経済学モデルを構成する.
公共政策
は, その供給者としての政治家-官僚機構ミックスと, その需要者としての産業のそれぞれの最適行動の均衡解として形成される.
政治-行政のミッンスは「
公共政策
」を販売することによって粗収入をうる.この粗収入から政治家が当選するための費用および官僚の行政機構の維持拡大に要した費用を差引いたものが, 供給者の純利益である.他方で「
公共政策
」の需要者にとっては, 政治資金の提供はその価格であり, この価格を上回る「
公共政策
」の評価がある場合には, それを需要しつづけるのが有利である.
政治過程をここでは二つのケースに分けて考察する.第一のケースは, いわば独立的政治家が多数派を形成して, すなわち与党を形成して,
公共政策
を提供する.この場合には, 各々の政治家の選挙区は, このモデルの外側で与えられており, したがってそれぞれの選挙区に応じて
公共政策
を提供しながら当選をかちうるための資金 (コスト) は異なり, かつ所与である.
第二のケースは, ある政党がすでに存在し, その党首が党のすべての活動に対して完全なリーダーシップをもっている.しかし, 党首のビヘイビヤーは, 依然として
公共政策
を販売して純利益をうることにある.この場合に彼の決定は, (1) 議会で彼の党が与党たりうる同僚議員の数 (議席数の過半数) を獲得しなければならない. (2) 彼は同僚を最小貨幣費で当選できるような選挙区に割り当てなければならない. (3) 彼は「
公共政策
」に対して最高の評価を与える産業から順次, その
公共政策
需要を満たしていかなければならない. (4) こうして, 彼の純利益が最大となる点まで財政規模が拡張されなければならない.このプロセスを簡単に明示したものである.
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