わが国の廃棄物処理を取り巻く状況は量的, 質的に危機的状況にある。その原因は廃棄物処理のための経済的システムが十分に機能していないところにある。その矛盾を補うために廃棄物処理法の改正, リサイクル法の施行など国などによる規制の強化によって廃棄物の減量化に積極的な公共的な取り組みが期待されているが, 基本的にこのような処理の限界の背景には, 市場の失敗があることはいうまでもない。そこで本稿では課徴金や税制などの導入による影響を踏まえ, 公共経済的手法と市場経済的手法の複合的な方法の導入によって廃棄物処理の現状の矛盾を克服し, そのことによって新たな経済システムの形成と社会的厚生の拡大を検討するものである。
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