準結晶とは、5回回転対称性をもつ物質である。5回回転対称性の物質は、結晶にはなりえない。なぜなら、結晶の定義は、結晶を構成する最小単位“単位胞”が厳密に配列している。つまり、単位胞の形をしたタイルで床を隙間なく覆い尽くせるのであるから。このような特異の構造を持つ準結晶の存在はもはや異例ではなく、多くの合金で確認されている。結晶を作製するあらゆる方法で、準結晶を作ることができる。また、結晶で測定できる物性も、準結晶でも殆どできるようになっている。本講では、準結晶の構造について簡単に説明し、準結晶構造に由来する性質を概説し、これに踏まえて最近の研究成果を紹介する。
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