育林投資の収益性は,樹種,林齢,地位,育林費,伐出費,素材価格などの諸要素によって決定されると考えられる。育林投資は多時点投入1時点産出になることが多く,この場合は,時間要素が重要な役割を果たす。本報告では,育林投資の収益性に関係する諸要素の中でとくに地位(林地生産力)のもつ経済的影響に着目し,時間要素と関連させて計量的分析を行なった。収益性を計測するための評価基準として
内部収益率
を採用し,評価モデルを次のように考えた。i-φ(c,l,p,s,y),ただし,i:
内部収益率
,c:育林費,l:伐出費,p:素材価格,s:地位指数,y:林齢。このモデルに従い,陽関数の形として示した
内部収益率
を媒介としつつ各変数の代替関係から,育林経営の収益性に及ぼす地位の影響を計量的に分析した。その結果,育林投資の収益性に及ぼす地位の影響が大きく,とくに林齢が低い段階において影響が大きいこと等が解明された。
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