第一報 (中島他, 1999) においてダイコンにプレウェッティング処理したのちに真空冷却することで冷却効果が得られることを示した。プレウェッティング処理して真空冷却するとき, ダイコンのように冷却むらが表面と内部で大きな品目は, その冷却状況を評価するために, その内部の温度分布を把握する必要がある。しかし, 簡易にダイコン内部の温度分布を測定することは困難である。そこで, 真空冷却中のダイコン内部の温度変化を把握する方法について検討した。ダイコン表面の品温変化は熱電対温度計で比較的容易に測定できる。このダイコン表面の温度変化を境界条件にして熱伝導方程式を利用することにより, ダイコン内部の品温変化, とくに最も冷え難い部位 (最大径部の中心) の品温変化を簡易且つ精度良く把握できることが判った。
一方表面が冷却されている割に内部の温度が高いダイコンなどでは, 真空冷却の後に低温状態下で温度を均一にすることによって真空冷却の効果が高まる。従って, このように真空冷却直後に低温状態下におく保冷操作を組み合わせて, その冷却効果を検討した。また保冷操作を組み合わせたときの保冷庫内で最終的に均一になる品温についても検討した。
これらの結果, 真空冷却に保冷操作 (5℃) を組み合わせた冷却法は有効であることが実証された。また品温の測定が容易なダイコンの表面品温変化のみから真空冷却中におけるダイコンの内部温度の推定に加えて, 最終的に保冷庫内で均一になる品温の推定が可能となり, 真空冷却から保冷終了までのダイコンの冷却状況を十分に把握できることが確認された。
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