以上をまとめると
(1) 職業をもっている, もっていないに関係なくほとんどの家庭で季節ごとに収納替えを行っている.
保存に使用している家具・容器では, プラスチック製衣装箱の使用が従来の調査
3) から比べると使用率が多くなっている.
また最近市販されるようになった圧縮袋もごく僅かであるが若い人達に使用されている.
(2) 保存をする前には「汚れを落とす」という点から, 被服を自宅で洗濯したり, クリーニングに出したりする家庭がほとんどで, また使用容器もきれいにしている.虫干しも30才代は少なく50才代以上の方が多いが, 15年前の調査
1.2) より減少している.
「柔軟剤加工」は30才代の方が多く, 「糊つけ」は50才代以上の方が多く行ってから保存している.
(3) 防虫剤は, ほとんどの家庭で使用しており, 30才代では最近市販されるようになった「ピレスロイド系防虫剤」を多く使用している.その購入理由では, “無臭である”が多い.また, 防虫剤を使用していない人の理由も「防虫剤の臭いが嫌いだから」が多い.このことから従来の防虫剤の臭いは好まれていない傾向であり, 防虫剤の評価においても無臭性が重視されている.
(4) 防虫剤の使用量や入れる位置等の使用方法については, 年齢が高いほど各自の感覚で行っている.これは, 表示方法が消費者の立場になってわかりやすく表示されていないことによると考えられ, メーカーにおいても検討を行う必要があるのではないかと思われる.
(5) 保存中に受けた被害の中では「虫害にあったことがある」割合が多い.また虫害にあった被服の内, セーター類の被害が多い.このほか, 保存前に洗濯するにもかかわらず, シミの被害が見られ細部のシミの原因を調査する必要があると思われる.
我が国は四季にあった被服が必要であり, 被服保存は避けては通られないものである.従って年々生活環境に対応して, 被服整理学の基礎を踏まえ実施して行く必要があると思われる.
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