高齢者508名 (男性206, 女性302) を対象に健康度自己評価と主観的幸福感およびそれに関連する要因を留置法による質問紙調査で調べた.健康度自己評価から健康度自己評価群と非健康自己評価群に分け, 健康度自己評価に関連する要因についてはχ
2検定をもとに数量化III類により要因の関連度を, 非健康自己評価者の主観的幸福感に関連する要因については数量化I類により要因の関連度を分析した.その結果, 以下のことが明らかになった.
(1) 健康度自己評価に関連する要因を数量化II類によって分析した結果, 現在の仕事の有無, 通院の有無, ソーシャルネットワーク, 社会的活動性, 運動実施の有無ADL, MPI・E尺度の7要因が選出され, 現在の仕事の有無を除く他6要因は健康度自己評価に有意の影響を及ぼしている.また, 正準相関係数は0.5150のかなり高い係数であった。
(2) 各要因のカテゴリーでは, 通院の無い方が, 運動を実施する方が, MPI・E尺度の外向的な方が, ADLのノーマルの方が, ソーシャルネットワークの少ない (6人以下) 方がそれぞれ, 健康と自己評価することに関連している.
(3) 非健康自己評価高齢者の主観的幸福感に関連する要因を数量化I類によって分析した結果, 年齢, 配偶者の有無地域での仕事 (役割) の有無ソーシャルネットワーク, 運動実施の有無, ADL, MPI・N尺度の7要因が選出された.その重相関係数は
R=0.7346 (
R2=0.5397) であった.
(4) 非健康自己評価高齢者の主観的幸福感に対して有意な偏相関を示したのは, 高い順にMPI・N尺度, ソーシャルネットワーク, 地域での仕事 (役割) の有無, と年齢の4要因であった.
各要因のカテゴリーについては, 神経症的傾向の無い方が, 支援二者の多い方が, 地域での仕事 (役割) の無い方が, そして年齢の若い方がそれぞれ, 幸福と自己評価することに影響を与えている.
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