両側肺転移を来した2症例に対しADM, MMCの制癌剤を併用した体外循環を用いた全身温熱治療を行つた. 症例はいずれも男性で, 腺癌の原発性肺癌例である. 症例1は11ヵ月前に, 症例2は17ヵ月前に肺葉切除術を受けている. 症例1は4回, 合計22時間の全身温熱治療を行いpertial responseの効果があつた. 症例2は2回, 合計12時間の加温を行つたがno responseであつた.
これら自験例で宿主免疫因子について検討を行つた. その結果は全身温熱中にリンパ球数, T細胞数の減少, またADCC活性での低下を認めた. これら因子は加温終了後2週間目までに前値に回復した. IgG, IgM, IgAほとんど減少しなかつたが, 補体では軽度の減少がみられ, classical pathwayの活性化が考えられた. 以上全身温熱治療中に宿主免疫を低下させないためimmunopotentiatorの使用が必要, またperformance status IV度例は禁忌と考えられた.
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