本稿は, わが国における国民の司法参加の諸制度が, どのような原理によって基礎づけうるかについて検討するものである。第一に, 本稿の意義と課題を述べたうえで, 第二に, これまで国民の司法参加として理解されてこなかった, 法律による裁判所の設置, 法律による裁判の原理, 裁判官の選任手続, 裁判官弾劾制度などについて, 代表民主主義の観点から, これらを司法参加の制度と定位すべきと主張した。そして, 第三に, 民事司法における国民の参加の制度に関して, その多様な形態を概説したうえで, その意義について分析した。これら民事司法における参加は, 刑事司法における参加とは異なり, 裁判所内部で蓄積されていない専門性を外部から調達しようとするものである。国民の司法参加を正統化する原理は, 参加の形態が多様であることと同様に, 一様ではないことを明らかにした。
抄録全体を表示