豊川用水は,開水路,トンネル,サイホンなどさまざまな工種で構成されている水路システムであるが,道路や水道と違ってネットワーク化されておらず,代替ルートを持たないため,耐震性を有しない山岳水路トンネルの存在は,利水者と地域にとって大きなリスクとなりうる。また,無筋コンクリート覆工の山岳水路トンネルは,大規模地震発生時にアーチ部に発生するひび割れが覆工を貫通し,最悪の場合,覆工コンクリートが通水断面内に落下して通水阻害となることが懸念されたことから,覆工コンクリートの荷重落下に耐えうる内面からの補強工法を選定し,施工性,経済性から,FRPグリッド補強工法を採用することとしている。本報では,FRPグリッド補強工法のはく離に対する抵抗性を実証試験により確認した結果を報告する。
抄録全体を表示