地球温暖化を原因として,海面上昇や熱帯低気圧の強度変化といった水災害につながる気象変化の極端化が進むことが予測されている.結果として沿岸国での水害リスクの高まりが指摘されているため,正確な被害予測を行い,予測結果に応じた適応策を講じる必要がある.ここから,高潮による浸水シミュレーションの精度向上を目的とし,著者らは全球を対象とする堤防データの構築や,堤防データを用いた被害評価を行う研究を進めてきた.しかし,研究の進展に従い,高潮の河川遡上を考慮する必要性が確認された.そこで,本研究では,世界の各地域を代表する国際河川を対象とした河川堤防データを生成し,その効果を検証した.その結果,新たに16の河川下流域において河川堤防データが完成し,河川堤防データを構築したことによる浸水域の変化を確認した.
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