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クエリ検索: "北満鉄道讓渡協定"
1件中 1-1の結果を表示しています
  • 荒木 一視
    人文地理
    2016年 68 巻 1 号 44-65
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー

    戦間期の日本とその植民地の食料供給がどのようにして支えられたのかという問題意識から,朝鮮に仕向けられた大量の満洲粟に着目し,当時の東アジアの食料貿易の一端を明らかにした。具体的には朝鮮・満洲間の主要貿易港である新義州税関の資料を用い,食料貿易の地理的パターンを描き出した。その結果,魚類や果実類,米,大豆と比べて粟が特徴的なパターンを有していることが明らかになった。すなわち,前者が主要な産地から主要な消費地である大都市に向けて仕出されるのに対し,後者は朝鮮各地に少量が仕向けられ,農村の需要に対応したものと考えられる。仕出地,仕向地の地域的な検討からは,日本の影響の強い満洲南部からの仕出,従来から粟の卓越する朝鮮北部向けの仕向という性格が認められた。特に朝鮮北部の仕向の多い地域は,当該期間に米の生産を伸ばした地域でもあり,春窮農家の相対的に少ない地域でもあった。以上から,戦間期に目指された植民地を含めた帝国の領域内での食料自給体制は,決して完全なものではなかったといえる。米に限れば自給体制は整えられたが,それを支える米以外の穀物自給は決して域内で完結していなかったのである。それは米以外の多くの穀物を海外に依存する今日の日本の穀物供給体制を考える上でも,重要な示唆に富む。

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