本稿では,企画シンポジウム「省エネ活動のハートウェアづくり—自然エネルギー100%大学の事例—」における4編の報告とその後の総合討論について報告する。
このシンポジウムでは,SDGsの目標13「気候変動に具体的な施策を」を見据え,低炭素行動の効果を高め,継続性を維持・向上するための基盤となるハートウェアづくりについて事例を交えて議論を行った。ハートウェアとは,「ハードウェア」「ソフトウェア」と相互作用し,低炭素行動をより効果的に実施していくためのヒトの意識や行動の基盤を示す概念である。
各報告では,
千葉商科大学
,東邦大学での活動報告のほか,活動を展開していく上で必要となる素養についても提言が行われた。各大学における活動そのものだけでなく,関係主体との調整といった活動のための準備には,教育効果も期待される。
総合討論では,活動を継続していくためのモチベーションと活動を拡大するための広報について議論した。モチベーションについて参加学生に聞いたところ,「変化」「重要感」「成長」「貢献」など,各学生はそれぞれ重視していることを挙げた。活動の自主性は重要であるものの,学生のみでは議論が発散するため活動に結び付きにくいことも指摘され,学生と教員の関係構築の難しさが課題となっていた。活動を拡大するための広報については,単に知ってもらうということでは不十分であり,活動に参加する人数を増やしていくためのコミュニケーションや合意形成が不可欠である,という認識が共有された。
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