21世紀の国際社会が直面している大きな課題として、「環境問題」と「開発問題」がある。これらの問題はいずれも産業革命以来の科学技術と産業の発達がもたらした問題であり、その意味で「科学教育」のあり方はそれらの問題の解決のために重要な意味を持っている。なぜなら、未来を担う子どもたちが科学をどのように理解し、それをどのように利用していくかは、人類の未来を左右するからである。本論は、筆者の研究分野のひとつである「科学技術と社会(STS)」を下敷きにして、「科学教育」、「環境教育」および「開発教育」の3つの教育分野をどのように連結していくかということに関するひとつの試論である。「開発教育」は日本ではまだ「環境教育」ほどには普及していないが、今後のグローバルな世界の動向の中に占める日本の国際的役割を考えていくときに配慮していくべき教育分野として、重要な内容を持っていると考えられる。
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