北里大学SPF施設で閉鎖群として維持しているSPF鶏群のK(北里大学獣医畜産学部から分与),H(台糖ファイザー株式会社から分与)およびT系(北里研究所から分与)はいずれも種卵で導入され,孵化育成によって継代されている。これら3系統の第1~3世代における80週齢までの産卵成績等を世代および系統間で比較し,次の成績が得られた。
1) 育成率,生存率,体重,飼料消費量および産卵成績など,各系統とも世代の進行による変化は認められなかった。
2) 3系統の平均産卵開始日齢はT系統(132日)がK系統より15日,50%産卵日齢はT系統(156日)がH系統より23日それぞれ有意に早かった(P<0.05)。
3) 21~80週齢までのK,HおよびT系統の3世代の平均産卵率はそれぞれ56.1,31.9および50.6%,同様にヘンハウス産卵数もそれぞれ176,111および202個とH系統がKおよびT系統に比べ有意(P<0.01)に低い値を示し,H系統の産卵成績は全般に低いものであった。
4) 産卵期における各系統の生存率,体重,卵重および受精率は世代および系統間に統計的に有意な差は見られなかったが,3世代の平均飼料消費量は,K,HおよびT系統でそれぞれ102.4,110.9および112.4gとK系統が他の2系統に比べ有意(P<0.01)に少なかった。
5) H系統は他の2系統に比較して50%産卵に到達する日数が長く,産卵成績が著しく低いこと,さらにK系統より飼料消費量が多いことから全般的に産卵能力と飼料効率の低い系統と判断された。
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