典型的な低平地環境を形成する佐賀平野においては, 従来から地下水の利用が盛んであったため, 地下水揚水に伴う地盤沈下や地下水の塩水化などの地盤環境に関する問題が生じている. 地盤環境を保全・管理していくためには, 健全な地下水環境を確保することが重要である. 近年, 天然の放射性物質, 環境同位体などの地下水環境を調査することにより, 地下水の履歴等に関する評価が可能となってきた. 本研究では, 地盤環境の管理に資することを目的として, 各種の溶存成分及び同位体に基づく地下水環境に関する調査を行うとともに, 佐賀平野の地下水循環等に関する考察を行った. その結果, 佐賀平野の地下水は, 三方を囲む山地部を起源として水平涵養され, 地下での滞留時間は山麓部では数10年, 有明海に近い平野部では最大10
3年程度にも及ぶことが明らかになった.
抄録全体を表示